[2.23 J1第1節 広島 2-0 浦和 Eピース]
2024年のJリーグが23日、広島市の新スタジアム「エディオンピースウイング広島」で開幕し、サンフレッチェ広島と浦和レッズが対戦した。今季の優勝候補同士の対決は互いに質の高いせめぎ合いを繰り広げた中、広島の新加入FW大橋祐紀が新天地デビューで2ゴールの大活躍。広島が2-0の完封勝利で新スタジアム初陣を飾った。
広島にとって長年の悲願だったサッカー専用スタジアムの公式戦初戦。観戦チケットは両チームのサポーターによって販売開始直後に完売し、27545人の大観衆がスタンドを埋め尽くした。
広島はミヒャエル・スキッベ監督が3年目を迎え、湘南から加入の大橋が新加入選手で唯一先発。一方、ペア・マティアス・ヘグモ監督が新たに就任した浦和はDF渡邊凌磨(←FC東京)、MFサミュエル・グスタフソン(←ヘッケン)、FW松尾佑介(←ウェステルロー/期限付き移籍から復帰)、FWチアゴ・サンタナ(←清水)が先発した。[スタメン&布陣]
試合は序盤から広島が勢いよく前に出たが、先にビッグチャンスを迎えたのは浦和だった。前半6分、左サイドを攻め上がった渡邊のパスからMF小泉佳穂が左足シュートを放うも、GK大迫敬介がスーパーセーブ。一方の広島は同10分過ぎからサイドチェンジを有効に使った攻撃を展開し、再び流れを取り戻していった。
広島は前半19分、敵陣で浮き球をうまく収めたFWピエロス・ソティリウが振り向きざまに強烈なボレーシュートを狙うが、枠を捉えられない。同21分にはMF満田誠のフィードがエリア内に通るも、MF中野就斗はシュートを打ち切れなかった。さらに同24分、グスタフソンをかわしたFW加藤陸次樹のシュートはGK西川周作の正面に飛んだ。
防戦が続く浦和は前半25分、松尾が左サイドに流れてドリブル突破を見せると、グラウンダーのクロスにMF関根貴大が反応。だが、かすかに軌道を変えたシュートにはまたも大迫が立ちはだかった。対する広島は同27分、MF東俊希の左CKからゴール前を攻め込み、混戦からDF荒木隼人がボレーシュート。これはDFアレクサンダー・ショルツにブロックされた。
その後は両者ともに長いボールを蹴り合う展開が続く中、前半45分に試合が動いた。満田のロングキックは相手にクリアされたが、こぼれ球を拾ったMF川村拓夢がDF塩谷司とのパス交換から左足ミドルシュート。これが西川のファンブルを誘い、ゴール前に詰めた大橋がニアポスト脇を打ち抜いた。
広島にとってこれが新スタジアムでの公式戦初ゴール。昨季はJ1リーグ戦23試合13ゴールで残留争いに巻き込まれていた湘南を救い、今季は新加入ながらさっそく順応を見せている大橋がクラブの歴史に名を刻んだ。
そのまま広島の1点リードで迎えた後半も6分、浦和が最初のチャンスを迎えた。右サイドを攻め上がった松尾のクロスがゴール前に入ると、アンカーの位置から攻め上がっていたグスタフソンが滑り込みながらダイレクトシュート。だが、これは大迫が冷静にセーブし、広島は流れを引き渡さなかった。
すると後半8分、広島は高い位置からプレッシングを仕掛けると、降りて受けた小泉から大橋がボールを奪取。そのままエリア内で倒され、PKを獲得した。ところが、キッカーを志願したソティリウが蹴ったボールは左枠外。まさかのキックミスにスタジアムは騒然とし、嫌なムードが漂いかけた。
それでも後半10分、またしても大橋が空気を変えた。左サイドを突破した加藤が相手と正対しながら右足で持ち出し、ゴール前にクロスを送ると、これに大橋が反応。DFマリウス・ホイブラーテンの前にもぐり込みながら、ヘディングシュートをゴール右隅に流し込み、広島がリードを2点に広げた。
なおも攻める広島は後半23分、相手のバックパスミスからカウンターを仕掛け、満田がゴール前にドリブル突破。左にパスを送ったが、フリーになっていたソティリウのシュートは西川の正面に飛び、3点目とはならなかった。対する浦和は同33分、右からのクロスに途中出場FW興梠慎三が決定的なヘディングシュートを放つも、枠を外れた。
終盤は浦和が攻め込む時間が続いたが、広島は塩谷、佐々木、荒木の3バックが集中力を失わず、勢いのあるカウンター攻撃を展開。ゴールこそ奪えなかったが、そのままシャットアウトし、2-0の完封勝利を収めた。
(取材・文 竹内達也)
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