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Thursday, April 21, 2022

働きがい・働きやすさ、就活生も重視 多様な選択肢を|NIKKEI STYLE - Nikkei.com

就職活動を行う女子学生らは、企業研究において、どのようなことを重視しているのでしょうか。日本経済新聞社が就職活動を経験した今春卒業予定の女子学生約1000人を対象に独自に調査を実施して執筆した記事によると(日本経済新聞朝刊2022年3月28日付「就活女子学生の2割 『活躍見込めず』選考を自ら辞退」)、女性活躍における実態や雇用環境などシビアに見極める様子が浮かび上がってきました。

マイナス印象にもなりかねない育休アピールに注意

就職を検討する企業において、「女性活躍が見込めないと感じ、エントリーを辞めたり、選考過程で自ら離脱したりする企業があるかとの問いに、『はい』と回答した」女子学生は5人に1人。「『女性活躍が見込めない』と感じた理由(複数回答)としては『産後働き続けている女性が少ない』が40.1%で最多」を占めた、とあります。

かつて「寿退社」が珍しくなかった時代では、女性が結婚・出産後も働き続けられる雇用環境が整備されていることに大きな価値がありました。今では信じられませんが、育児休業制度そのものが法制化されていなかったのです。

育児休業法(現在の育児・介護休業法)が施行されたのは、今から30年前の1992年4月。しかも当時は、30人以下の事業所には3年の猶予期間があり、全面的に育児休業が取れるようになったのは、95年以降のことです。ちなみに、96年の女性の育児休業取得率は49.1%、男性は0.12%でした(厚生労働省「雇用均等基本調査」より)。

育児休業が取りやすく、出産後も働きやすい雇用環境であることは素晴らしいことです。しかし、女性だけに向けて育休取得や時短勤務がしやすいなど、仕事と育児との両立支援やワークライフバランスをアピールするのは、今ではむしろマイナスの印象を与えかねません。それでは、男性が育休を取りにくい、前時代的な会社だと受け取られる可能性もありますし、育児は女性が行うものだという性別役割意識を助長させることにもなります。

そもそも、男性正社員には無制限に働くことを求める現状を放置したままで、育児や介護をする女性だけを特別に配慮する、というやり方が望ましいとは思えません。男性の働き方が変わらなければ、女性の働き方も変えられません。そこにメスを入れようとしたのが「働き方改革」ですが、十分な成果が見られているかは微妙なところです。

女性だけに向けて育休取得や時短勤務がしやすいなどのアピールは、今ではむしろマイナスの印象を与えかねない(写真はイメージ=PIXTA)

「年功序列型賃金」や「終身雇用」などに代表される日本型雇用システムにおいては、長い間、女性の労働力はほとんど戦力とみなされませんでした。同時に、男性の無制限な働き方も見直されることがありませんでした。そういう状況下で、出産後も育休を取得して雇用が継続できるようになったことは、意義ある前進です。ところがその結果、「マミートラック」に陥る女性も。マミートラックとは、産休や育休からの復帰後、仕事の負担を必要以上に軽減した結果、キャリア形成が遅れる現象のことです。これに陥る女性が増えるなど、キャリアが停滞するという新たな問題が起こりました。

仕事と育児などの両立支援は大切です。同時に、男女雇用機会均等法(正式名称は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」)が、募集・採用、配置・昇進などでの性別を理由とした差別や妊娠・出産などを理由にした不利益取り扱いを禁じているように、性差のない均等な待遇を求める女性も少なくありません。女性活躍を推進するには、両立支援と性差のない均等な待遇の両輪が必要不可欠です。昇進のチャンスについて知りたい女子学生に、「女性は育休が取りやすい」とステレオタイプな説明をしているばかりでは、魅力を感じてもらうことは難しいでしょう。

改正育児・介護休業法が22年4月から段階的に施行され、22年10月には「産後パパ育休」が創設されます。これは男性の育休取得の促進を狙いとしており、子の出生後8週間以内に4週間まで、2回の分割取得ができるというものです。もちろん、以前からある1歳までの育児休業(最長で2歳まで)も、産後パパ育休とは別に、取得することができます。

これはまだ小さな一歩かもしれませんが、男性が育児休業を当たり前に取れるようになることで、男女とも主体的に育児を行い、働き方の見直しが進むことが期待されます。パートナーのどちらか一方に育児・家事の負担が偏れば、他方の雇用継続やキャリア形成に大きな影響が生じるのは言うまでもありません。

女性だけでなく、男女ともに育休が取りやすく働きやすい職場、そして働きがいのある職場であるというメッセージを発信していくことが大切でしょう。そういう企業の姿勢を、女子学生らも見ています。

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