阪神は26日のヤクルト戦に1―2で敗れ、3連敗に沈んだ。8回の投手交代の際には矢野燿大監督(51)が審判団から7回の本塁クロスプレーを巡るリプレー検証中の外部とのやりとりを指摘されて激しく口論する場面もあった。後味の悪い黒星で、デーゲームで敗れた首位・巨人との差を縮められなかった。
思わぬところから疑惑の目を向けられた。8回表を終えて選手交代を告げに出た矢野監督に対して審判の1人が発した予期せぬ言葉で事態が急変した。一瞬にして全審判が集まり、井上打撃コーチも加わって“口論”が発生。桑原が投球練習する間、約6分間も試合進行が遅れた。
「審判の人が、外部からの情報の伝達みたいなことを言うから、そんなんするわけない(と言った)。何か俺らがズルをすることなんかもない」
珍しく声を荒らげて猛抗議した指揮官も試合後は冷静に審判とのやりとりを明かした。発端は7回だ。2死一塁から代打の高山の遊飛を西浦が落球した間に一塁走者の小幡が本塁へ突入。アウト判定に対してリクエストを要求した。このリプレー検証中に疑惑の光景があったもようだ。
「記者の人が、チカに声かけて、ビデオ判定のときに“セーフなんじゃない”とかというのを、チカが一樹(井上)に“セーフっぽいですよ”というのをやっていたのか。(ベンチ奥にいたから)俺らは分からんよ」
審判の主張は、判定した石山球審を除く審判団がベンチ裏のモニターで検証している間に1人の記者とネクストバッターズサークル付近にいた近本が当該プレーに対して「コンタクトを取っていた」というものだ。その記者が「セーフ」を意味する行動を取ったことで近本が井上打撃コーチに「セーフ」と伝達。リプレー検証は判定通りアウトのままでも、審判は「あった」と確信した選手と記者のやりとりを「外部からの伝達」と捉えた。
試合後も再び指揮官と審判が約3分間の“延長戦”に突入した。責任審判の森二塁審判が「どこの新聞社の人間かということを記者席に向かって聞いていた。たまたま交代を告げにきたときに、その場で話になってしまっただけです」と説明して収拾した。同審判は報道陣に対しては「NPBに報告するので聞いて下さい」とだけ言い残した。実際にコンタクトがあったかは不明ながら、矢野監督にとってはとばっちりだった。
25日には“クラスター”が表面化したばかりだ。まさに泣きっ面に蜂――。最後に誤解は解けたとはいえ、何とも後味の悪い一戦となった。 (山本 浩之)
【セ・リーグ アグリーメント 情報のフェアな入手と利用に関する申し合わせ】(抜粋)
監督・コーチ・選手・スコアラー関係
2・ネット裏スコアラーについては、試合に関する情報を収集するのは構わないが、その試合に関する情報はベンチに伝達しない。
情報機器について
3・中継用カメラなど情報機器を使用して入手する情報については、試合中にリアルタイムで使用してはならない。
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2020-09-26 20:30:00Z
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