ポスティングシステムで大リーグ移籍を目指していた広島菊池涼介内野手(29)が27日、広島市内の球団事務所で会見し、チームに残留することを表明した。

同日に契約更改交渉に臨み、新たに年俸3億円プラス出来高払いの4年契約を結んだ。鈴木の2億8000万円を抜いて球団の野手では史上最高年俸となった。リーグ3連覇の立役者の1人が再びカープの一員としてV奪回を目指し、ダイヤモンドを駆け回る。(金額は推定)

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菊池涼は赤いネクタイを締め、晴れやかな表情で堂々と宣言した。「本日カープ球団と残留の交渉をしまして、残留することを決めました」。1年前の契約更改交渉で球団にメジャー挑戦を志願した。球団はリーグ3連覇など功績を評価し、ポスティングシステムを利用してのメジャー移籍を容認。代理人を通じて交渉を続けたが、最終的に広島でプレーする道を選択した。

夢を後押ししてくれた球団に対する感謝の思いがあった。「いろんな問題がありましたけど、それを柔軟に受け止めてくれた温かい球団。その人たちと来年も一緒に頑張っていきたいという思いをずっと持っていた。感謝しかない。モヤモヤすることなく、スッキリしています」。日本時間の来年1月3日午前7時が交渉期限だったが「早めに球団に伝えてあげたい」との思いか26日に佐々岡監督を含めて球団に残留の意思を伝えた。

順調にいけば21年には海外フリーエージェント(FA)権を取得する。メジャー再挑戦の可能性について菊池涼は「年齢的に考えればやっぱり難しい。挑戦できれば向こうの国でプレーしたかった」とその思いは一時封印する。会見前には松田オーナーの下にあいさつに訪れ「来年から長い契約なので、しっかりリーダーになってくれ」と声を掛けられた。年俸3億円で4年契約を結んだことは「生涯カープ」の決意の裏返しとも受け取れる。

ここまでのプロ8年間を振り返った上でこう力強く言った。「やり残したことしかない。おごりはない。本当に悔いのないようにやるにはカープでやるのが一番だという選択だった。また新たな気持ちで、挑戦者として、戦い抜いていきたい」。V奪回、そして悲願の日本一へ広島の“忍者”がチームを頂点へ押し上げる。【古財稜明】

▽広島佐々岡監督 二塁手として存在は大きく、必要な選手。また野手を引っ張ってくれるだろう。本人は残念だろうけど、気持ちを切り替えてほしい。会沢、(野村)祐輔、長野が残ってくれて、最後、菊池の残留決断は大きかった。

▽広島鈴木球団本部長 彼がいなくなったら…と燃えていた若い人たちも、また奪い取るつもりで頑張ってほしいし、それがチームの力になる。