ファーストリテイリングは、傘下のユニクロで扱うショルダーバッグを世界の定番アイテムに育てようとしている。売り上げこそ非公表だが、一消費者のソーシャルネットワーク(SNS)への投稿をきっかけにファッション業界の話題をさらった同商品は世界のいくつかのマーケットで人気アイテムの一つになりつつある。
ユニクロのグローバルMD部で部長を務める炬口佳乃子氏は、同社が世界で展開する ラウンドミニショルダーバッグについて、「一過性のトレンドではなく、人の生活の中に定着するアイテムになってきている」と期待する。
ユニクロのショルダーバッグはその形状から「餃子バッグ」、「ミレニアル・バーキン」、「メリー・ポピンズ・バッグ」、「バナナ・バッグ」などの愛称で親しまれるが、2020年の発売当時から販売好調だったわけではない。22年に動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」で動画が拡散されて人気に火が付き、一部で品不足になった。
国内では1500円で販売されており、現在の為替レートで換算すれば10ドル以下だ。ただ米国では19.9ドルで販売されており、海外でも価値が認められていることがうかがえる。海外展開に注力するファストリにとって、いまや重要な商材の一つだ。
岩井コスモ証券のアナリスト、菅原拓氏は「機能的で着やすいものを提供するというブランド戦略が浸透してきている」と指摘する。そのうえで、高級ブランドに比べて価格は安くても、「価値あるものを提供している点が消費者に評価されている」という。
さらなる拡販に向けた試みはすでに始まっている。新色のパステルカラーを投入し、かぎ針編みやコーデュロイ、フェイクレザーなどの生地も追加した。フィンランドのブランド マリメッコとのコラボレーションも果たした。長く愛されるには新しいアイデアを出し続けることが必要だ。
地域色を押し出すこともブランド戦略の一つだという。例えばスコットランドの首都であるエディンバラにあるユニクロの店舗では、ウイスキーに次ぐ国民的飲料と言われる「アイアンブルー(Irn-Bru)」の缶が刺しゅうされたタイプを販売する。
模倣品問題も
ショルダーバッグはあまりの人気に、 模倣品問題も引き起こした。昨年12月、同社は中国発ネット通販の「SHEIN(シーイン)」が販売するショルダーバッグが不正競争防止法に違反するとして、運営会社などを相手取り、東京地方裁判所に損害賠償を求めて訴訟を申し立てた。
もともと同商品は19年、コンパクトでもより多くのアイテムが収納できるバッグを作るにはどうしたらいいかという試行錯誤から生まれた。約30人の社員がプロトタイプをテストして、大きな財布やボトルといった生活必需品だけでなく、内側のポケットに小物を入れられるかどうかをチェックした。
炬口氏によると、ショルダーバッグの購入層は老若男女を問わない。しかも、デザインがとてもシンプルで使いやすかったということと、この値段で売られているバッグが他にないことが受け入れられたポイントだったと分析する。
バッグからヘッドホンや香水などいろいろなアイテムを取り出す 動画が数多くの「いいね」を獲得してから約2年。ファッションの定番を目指して、ラウンドミニショルダーバッグは進化を続ける。
からの記事と詳細 ( ユニクロ「ミレニアル・バーキン」、多様なタイプで狙う世界の定番 - ブルームバーグ )
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