【サンフランシスコ(米カリフォルニア州)14日(日本時間15日)=久保賢吾】観戦する後輩へ、放物線で激励のメッセージを届けた。ドジャース大谷翔平投手(29)が、花巻東の後輩で、今秋に米スタンフォード大学に進学する佐々木麟太郎内野手(19)が観戦する中、自身6試合ぶりの先制12号ソロを放った。“スプラッシュ・ヒット”は惜しくも逃したが、飛距離446フィート(約136メートル)の特大弾でオラクルパークでは初アーチ。本塁打争いでリーグトップタイに浮上し、3安打で首位打者争いでもトップに再浮上した。

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強烈なインパクト音とともに、鮮やかな放物線を後輩の目に焼き付けた。0-0の4回無死、大谷は初球のスライダーをフルスイング。打球速度113・4マイル(約182・5キロ)、飛距離446フィート(約136メートル)の特大弾を右中間席にたたき込んだ。「初球からしっかり振れたので、いい結果につながった」。自身6試合ぶりの12号ソロで、本塁打争いでリーグトップタイに浮上した。

スタンドには花巻東の後輩で、米スタンフォード大学に進学する佐々木が観戦に訪れた。試合前には練習をグラウンドで見学。大谷が室内で調整し、対面はなかったが、テキスト(SMS)ではメッセージを交換した。

「いろんな人のバッティング練習を見て、勉強したいって話をしてたので、それは勉強になるんじゃないのっていうやりとりはしました」

手本を示すように3安打を広角に打ち分けた。5回無死一塁では中前打で好機を広げ、7回無死三塁では左翼線へ適時二塁打。3安打2打点で三塁打が出れば、サイクルヒットだったが、9回無死二塁では二ゴロで進塁打を放ち、チーム打撃で4点に結び付けた。

子どもの頃、魅了されたメジャー最多762本塁打のバリー・ボンズがプレーした敵地オラクルパークでの初アーチだった。「バリー・ボンズ選手がホームランを打ってる映像とかもずっと見てたので、プレーできて良かったです。(ボンズは)洗練されたパワーヒッターのイメージでかっこいいなと」。憧れを実現し、後輩へ希望を与えた。

心に残る、美しいベースボールパークだ。「歴史的な球場。個人的にはすごく好き」。右中間はフェンスが屈折して中堅より7メートル以上遠く、約126メートルある。そのはるか上空を飛び、約136メートルを計測した。だがボールが右翼席場外の海に飛び込む“スプラッシュ・ヒット”。まさにボンズの代名詞だったが、あと少し届かず、再挑戦に意欲を示した。「今日、打った瞬間いくかなと思ったんですけど、いかなかったのでちょっと残念でしたけど、またチャンスがあれば頑張りたいです」。大谷が描く放物線には夢がある。

▽ドジャース・ロバーツ監督(大谷の特大12号に)「球場のあそこまで飛ばす選手はあまり見ない。幸運なことに私はそのうちの1人(バリー・ボンズ)とここでプレーしたけどね。とても印象的だった。バリーの領域だ」

【動画】大谷翔平、惜し~!特大12号はスプラッシュヒットあと1歩