ドジャースのキャンプ初日、一時騒然となる場面があった。

クラブハウスのある球団施設から山本由伸投手(25)がグラウンドに向かう途中、大勢のファンとメディアが一斉に押し寄せた。「ヘイ! ヘイ! 気をつけて!」と声を張り上げて通路をガードしていた警備員は、バリケードをひもでつないで境界線を敷いたが、意味をなさないほどの圧だった。ド軍のキャンプ施設で約10年警備を続けているベテラン警備員が「ぐちゃぐちゃになったよ。もう何人か必要だね…」とボソリ、つぶやいていた。

ブルペン投球を終え、フィールド間を移動した山本を見かけると、サインや写真を求めて全速力の猛ダッシュで走るファンもいた。30~40人が一斉に動けば、転倒や衝突などの危険が伴うカオス状態となる。この日、大谷はフィールド上では調整しなかった。だが、いずれその日は来る。警備員の1人は「日本人のスター選手が2人だからね。これほどのことは、今までなかったよ」と話し、大谷がフィールドに現れた時の状況を「想像できない」と、途方に暮れていた。メディアは100人近く、ド軍の担当ではない記者も取材に駆けつけた。かつてないフィーバーぶりは当面、続きそうだ。【MLB担当=斎藤庸裕】