転向後、最初の試合に向けて那須川選手はキックによる攻撃がなくなる代わりに鍛えてきた多彩なパンチで主導権を握りました。
キックボクシング時代に那須川選手が持ち味としてきたのは左上段蹴りやダイナミックな胴回し回転蹴りなど破壊力抜群のキックでした。
しかし、その得意技が使えないボクシングの世界で戦っていくためにパンチのバリエーションを増やしてきました。
ジャブやストレート、アッパーなど基本的なパンチを打ち分けることを意識するとともに、それぞれのパンチについても打つタイミングを変えるなど工夫を凝らしてきました。
さらに2つのパンチを重ねる「ワンツー」も複数のコンビネーションを試したりするなど、反復練習を行って磨いてきました。
那須川選手はこれを“千手観音スタイル”と呼び「いっぱいなきゃだめ。そしたら相手が『次に何が来るか分からない』となる」と狙いを説明。
そして8日の試合、那須川選手はその多彩な攻撃で主導権を握りました。
2ラウンド目にダウンを奪ったパンチは右のフック。
さらにワンツーを効果的に使ったほか、終盤には変則的なステップから飛び込むタイミングを変えて左ストレートを顔面に打ち込むなど相手に着実にダメージを与え、およそ1万人のファンを沸かせました。
さらには「顔が命なので」と試合後に冗談を話したほど持ち味のスピードを生かして顔にはほぼパンチをもらわず、攻守ともに余裕を持った試合運びで勝利につなげました。
試合のあと、相手の与那覇選手も「スピードはもちろん、パンチの打ち分けなど思ったよりもボクシングの技術がある」と話し、那須川選手自身も「ワンパターンじゃなくていろいろ引き出しは見せられたのではないか」と手応えを口にしました。
一方、この試合で圧倒しながらKO勝ちを逃したことについては那須川選手本人は「倒しきれるように強化したい」とパンチの威力向上を今後のテーマにあげました。
「必ずボクシングでも世界を取ろうと思う」とさらなる成長を誓った那須川選手にとって、手応えと伸びしろが見えた初戦となりました。
2023-04-08 14:00:56Z
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