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Monday, December 26, 2022

脱炭素 EV以外も選択肢:地域ニュース - 読売新聞オンライン

 世界的な脱炭素化の流れはタイにも広がっている。都市部は交通渋滞が激しく、エコカーの普及は待ったなしだ。最近は、走行中に二酸化炭素(CO2)を出さない電気自動車(EV)に熱い視線が注がれている。

 12月7日、首都バンコクでイベントを開いた米テスラは「世界標準のサービスを提供する」と表明した。テスラはEVの世界最大手で、主力セダン「モデル3」の販売に乗り出す。点検や整備などのサービス拠点も開設する。

 市場の拡大を見込んで独BMW、スウェーデンのボルボ・カー、中国の長城汽車やBYDなど、海外勢は相次いでタイにEVを投入した。トヨタ自動車が11月に発売した「bZ4X」も3300台超の注文が集まり、受注を一時停止した。タイ政府も手厚い補助金でEVを後押ししている。

 EVを購入しているのは、流行に敏感な若者や富裕層が多い。経済成長に伴い、中間層の厚みも増している。今年1~10月のタイのEV登録台数は約7000台で、2021年通年の約2000台を大きく上回った。

価格3倍

 EVはエコカーの「主役」になるのか。バンコクで12日まで開かれた自動車ショー「モーターエキスポ」には、各社が新型EVを展示し、EVの 黎明れいめい 期を感じさせた。

 一方、売れ筋のガソリン車やプラグインハイブリッド車(PHV)も数多く並んだことは、タイの現状を物語る。

 自動車ショーは商談会の場でもあり、値札が付いたクルマも多い。あるメーカーのガソリン車は日本円で250万円ほどだったのに対し、EVは3倍近い価格だった。会場を訪れていたウィモンワン・ブーンスさん(35)は「燃料代が高騰する中、EVなら支出を減らせる。だが、価格が高く、車種も限られている」と打ち明けた。

 各社が現地生産を計画しており、価格は下がっていくとみられるが、充電施設も全国で計約870か所と少ない。火力発電の比率も高く、「EVが普及しても環境面でプラスになるとは限らない」(日系自動車メーカー関係者)との声もある。

財閥と協業

 タイ東北部ブリラムのサーキット。17~18日に行われた耐久レースで、トヨタが開発中の水素エンジン車が駆け抜けた。海外レースで走らせるのは初めてで、豊田章男社長もドライバーの一人としてハンドルを握った。

 タイでは11月に初めて水素ステーションが開設されたばかり。タイまで水素エンジン車を運んだのは、水素の可能性をアピールする狙いがある。トヨタの佐藤恒治執行役員は「いきなりEVに取って代わるものではないが、EV(の普及)が行き詰まったときに、それ以外の選択肢があるかもしれないと知ってもらえた」と語る。

 今月14日には、タイの大手財閥「チャロン・ポカパン」(CP)グループと脱炭素化に向けた協業を検討すると発表した。水素の製造や、CPの配送トラックにEVや燃料電池車(FCV)を導入することなどを考えている。

 豊田社長はタイでの電動車戦略について、こう語る。「その国・地域にとってどの選択肢がいいのか。正解が分からないときは、一つに絞るべきではない。トヨタは、フルラインアップのメーカーで、どれも本気でやっている。全ての選択肢において準備はできている」

 (おわり、この連載は山本貴徳、バンコク支局の山村英隆が担当しました)

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