2022年11月16日、脂質異常症治療薬のピタバスタチンカルシウム水和物・エゼチミブ(商品名リバゼブ配合錠LD、同HD)が薬価収載された。同薬は9月26日に製造販売が承認され、12月6日に発売が予定されている。配合錠LD(1錠中:ピタバスタチンカルシウム2.0mg+エゼチミブ10mg、白色)およびHD(1錠中:ピタバスタチンカルシウム4mg+エゼチミブ10mg、淡黄色)の適応は「高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症」、用法用量は「1日1回1錠を食後に投与」となっている。
日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」では、食生活等の生活習慣の改善を含めた非薬物療法を基本とし、脂質異常症、特に高LDLコレステロール(LDL-C)血症の薬物療法の第一選択薬として、アトルバスタチンカルシウム水和物(リピトール他)などのHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系薬)が推奨され、それでも脂質管理目標値に達しない場合に、他の薬剤との併用療法を考慮するとされている。
リバゼブは、HMG-CoA還元酵素阻害薬のピタバスタチンカルシウム水和物(リバロ他)と小腸コレステロールトランスポーター阻害薬のエゼチミブ(ゼチーア他)の脂質異常症治療薬同士の配合薬である。リバゼブと同じ作用機序の配合薬として、アトーゼット(一般名エゼチミブ・アトルバスタチンカルシウム)、ロスーゼット(エゼチミブ・ロスバスタチンカルシウム)が臨床使用されている。
ピタバスタチンは、肝臓に選択的に分布するコレステロール合成の律速酵素HMG-CoA還元酵素を特異的かつ拮抗的に阻害し、肝細胞内のコレステロール含量を低下させ、LDL受容体の発現を促進する。その結果、血液中のLDL-Cの取り込みを増加し、血清コレステロールを低下させる。また、持続的なコレステロール合成阻害作用を有するため、肝臓からの超低密度リポ蛋白(VLDL)分泌を抑制する。一方、エゼチニブは、小腸上部の刷上縁膜上に存在し、小腸壁におけるコレステロール輸送機能を担う小腸コレステロールトランスポーターを阻害することで小腸からのコレステロール吸収を阻害する。
リバゼブは、降圧薬および血糖降下薬など作用機序が異なる既存の配合薬と同様に、脂質異常症治療で多剤併用を必要とする患者の服薬負担を軽減することで服薬アドヒアランスを改善することが期待されている。
高コレステロール血症患者を対象としたピタバスタチンまたは同薬との実薬対照二重盲検比較試験(国内第III相検証試験)、ピタバスタチンで効果不十分な高コレステロール血症患者を対象とした同薬52週間投与の国内第III相長期投与試験にて、同薬の有効性および安全性が確認された。
副作用として、主なものはALT上昇(1%以上)、γ₋GTP上昇、蛋白尿、CK上昇、白血球増多(各1%未満)などであり、重大なものとして過敏症(アナフィラキシー、血管神経性浮腫、発疹)、横紋筋融解症、ミオパチー、免疫介在性壊死性ミオパチー、肝機能障害、黄疸、血小板減少、間質性肺炎の可能性があるので十分注意する必要がある。
薬剤使用に際しては、次の事項についても留意しておかなければならない。
●脂質異常症の治療の第一選択薬として用いないこと
●原則として、ピタバスタチン(2mgまたは4mg)単剤、またはピタバスタチン(2mgまたは4mg)とエゼチミブ(10mg)の併用療法からの切り替えで使用すること(添付文書「用法および用量に関連する注意」を参照)
●肝障害のある患者に投与する場合は、最大投与量をピタバスタチンカルシウムとして1日2mgまでとすること(添付文書「特定の背景を有する患者に関する注意」「薬物動態」を参照)
●ピタバスタチンを4mgに増量する場合には、横紋筋融解症関連有害事象が発現する可能性があるので、前駆症状(CK上昇、ミオグロビン尿、筋肉痛および脱力感等)の発現に注意すること(添付文書「重大な副作用」を参照)
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