スタッドレスは割りに合わないが
天気予報では各地に雪のマークが付き始め、いよいよ冬将軍の足音が近づいてきた。
この時期になると、悩む問題がある。タイヤをどうするかだ。東京に住む私にとって、スタッドレスタイヤを購入するという選択肢はない。年に一度、雪が積もるかどうかなのに、わざわざ買うのは割に合わないのだ。
しかし、異常気象は年々、激しさを増している。ここ数年は雪が積もらなかったけれど昨冬は久しぶりに積もったし、しかも今年の冬は例年より寒い予報がでているようだ。
雪が降ったときは、クルマで出かけなければいい。そう割り切っているのだが、気がかりなのは家族や友人の緊急事態だ。夜中に呼び出されたとき、雪が降っていたらどうしよう?
こうした事態に備え、愛車『レネゲード』のトランクには、『オートソック』が積んである。オートソックは、シャワーキャップ型の布製タイヤチェーンとして日本に上陸したもの。ジャッキアップもせずに装着できる手軽さから、今や、ロードサービス、消防などの公共機関などでも使われているようだ。
ただ、このところ私は、落ちゆく体力、高まるせっかち、にぶる判断力という現状から、オートソックを使うことに疑問を持ち始めた。緊急なときに、雪のなかで私は冷静に付けられるのか。いや、家の車庫でつけるときはまだいい、しかし、はずすときはどうする?
「雪も走れる夏タイヤ」という選択肢
東京の場合、住宅地に雪が残っていても交通量の多い幹線道路まで出てしまえば、道路が渇いていることが多々ある。では、オートソックを履いて出発したとして、数百メートル後に幹線道路ではずすのか? 大型トラックがばんばん走る道で? 夜も? 雪や雨にさらされながら? いや、そもそも多くの幹線道路は駐停車禁止なので、コンビニさまの駐車場をお借りすることになる可能性が高い。コンビニがあればいいけれど。オートソックは、乾燥した路面での耐久性は120kmだ。一回でダメにするわけにいかないので、私はきっと早くはずさなければと焦りまくることだろう。
こう考えていくと、どんくさい私が、どこでオートソックをはずすかは大問題だと気付く。一気に不安になってくる。
ならば、レンタルでスタッドレスタイヤを借りるというのはどうだろう。「スタッドレス、レンタル」で検索をかけると、探した限りでは一泊二日から借りられる。日程が決まっているレジャーなどならこれで十分だろう。しかし、急な雪では、レンタルにも人が殺到するだろうし、そもそも緊急事態にタイヤ交換に行っている時間などあろうはずもない。
そうこうしているうちに、愛車レネゲードのタイヤが5年を迎えた。タイヤ交換。そして、閃いた。そうだ、「雪も走れる夏タイヤ」という選択肢があったではないか。となると、私の悩みを全解決してくれるタイヤは一択だ。ミシュランのオールシーズンタイヤ「クロスクライメート2」である。
例年よりも早まっている冬支度
写真を撮る暇もなく、ホイールにはめられていくクロスクライメート2。クロスクライメート2は、たしかに、がちがちに凍った道はスタッドレスには劣るようだ。もちろん、その点は心得て使う必要があるけれど、しかし、高速道路のチェーン規制にも対応している。なにより、一年を通して日々、普通に走ることができ、急に雪が降っても焦ることなくそのまま走らせられるなんて。季節ごとのタイヤの交換も保管も心配することなく、私のようにメカにうとく、しかも身体が弱くて寒い雪の日に外作業などしようものなら倒れてしまうような人間には(多少の誇張が含まれます)、夢のようなタイヤではないか。
このクロスクライメート、実は初代が出たときも心惹かれたのだが、正直「初代」は完成度に疑問があった。だって、世界初のハイブリッドカー『プリウス』だって、初代から二代目へと変わると、とんでもなく進化していたではないか。初代とは、そういうものなのというのが、疑り深い私の考えなのである。
しかし、ミシュランがどういう経緯を経たのかは不明だが、初代登場からわずか一年で、早くも2代目が登場した。しかもバリエーションも増えている。初代を発売するときに、やりきれなかったドライ路面での静粛性等のネガティブ部分を打ち消してきたのである。これなら!
今回、交換でお世話になった、タイヤフィッティングサービスさんによると、今年は例年よりも冬に備えた動きが早いという。異常気象で意識が高まっているのに加え、リモートワークの増加で、少し郊外の地域ではクルマに乗る機会が増えたのではないかとのことだ。いち早く、冬対策を済ませた私もこれでひと安心。雪、いつでも来いである。
雪がふったときのクロスクライメート2がどうだったかは、また、本音でレポートしたい。早く雪が降らないかな。
トルクレンチで、適切な力できっちりボルトを締めてもらう。これ大事。撮影協力:タイヤフィッティングサービス(株)
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「ハチ公物語」「しっぽをなくしたイルカ」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「法律がわかる!桃太郎こども裁判」(すべて講談社)。
からの記事と詳細 ( 早まるクルマの冬支度、スタッドレス“じゃない選択肢”を考える【岩貞るみこの人道車医】 - レスポンス )
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