秋広君は“メガゴジラ”になれる-。巨人の長嶋茂雄終身名誉監督(85)が2日、1軍の全体練習が行われている東京ドームをサプライズ訪問した。練習前には選手に訓示し、投内連係、ブルペン投球を視察。打撃練習では球界最長身2メートルのドラフト5位、秋広優人内野手(18=二松学舎大付)の体をタッチし、愛弟子の松井秀喜氏同様の将来性を見いだした。ミスターにパワーを注入された巨人は、3日にオープン戦初陣となるヤクルト戦(東京ドーム)に臨む。

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こんなにうれしいサプライズはない。えんじ色のブルゾンから淡いピンク系のマフラーをちらりとのぞかせた長嶋終身名誉監督が、東京ドームの全体練習に姿を見せた。公の場は昨年1月の故金田正一さんのお別れの会以来で、東京ドームは19年9月27日の本拠地最終戦以来。練習前には「選手の皆さん、ご苦労さまです。今年はいいね」と話すと「勝つ! 勝つ! 勝つ!」と、おなじみのフレーズで激励した。

その後は用意されたいすに腰を掛け、眼鏡の奥から鋭い眼光を光らせた。ミスターの“野球人の血”が最も沸き立ったのは、ブルペン視察を終えてグラウンドに戻ってきた打撃練習中だった。視線の先で、18歳の秋広が快音を響かせていた。いったん打撃ケージを出たところで、近くへと招き寄せた。大きな背中を小さく丸めて緊張するルーキーのバットを手に、語りかけた。若かりし日の菅野や岡本和らにしたように、優しく体に触れた。秋広の表情が、ゆっくりほぐれていった。隣にいた原監督が「非常に将来性が豊かだというところと、松井と対比されて、松井は体がしっかりできていたよと。君も体を使いなさい。バッティングそのもの、プレーそのものは劣っていないというところですね」と、その場面を振り返った。高い潜在能力を見せる高卒ルーキーの打撃に、「1000日計画」で大打者に育てた松井氏の新人時代を思い起こしたようだ。

約2時間も練習を見届け、長嶋終身名誉監督がグラウンドを後にした。原監督は「私自身も久々にグラウンドでお会いできた。しかもお元気で。厳しい野球人の目線で見られていました。昔を思い出させていただいて、私自身も背筋が伸びた感じがしました。師匠ですから」と感謝した。開幕への総仕上げに入るオープン戦前日。ミスターのサプライズ訪問で、かけがえのない力を得た。【浜本卓也】