柔道の世界ランキング上位者で争うマスターズ大会最終日は13日、ドーハで男女計5階級が行われ、東京五輪男子100キロ超級代表で16年リオデジャネイロ五輪2位の原沢久喜(百五銀行)が初戦の2回戦でウクライナ選手に一本負けし、敗退した。足技に倒れた際に右肩を負傷したとみられる。五輪2連覇中のテディ・リネール(フランス)は準々決勝に進んだ。

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男子100キロ超級の原沢は格下のウクライナ選手に不覚を取り、予想外の初戦敗退となった。

けんか四つで左組みの相手との接近戦から引き手を奪い合う。1分すぎに不意を突かれた強引な小外掛けで畳に落ちた。右肩を強打したとみられ、そのまま抑え込まれると苦悶(くもん)の表情ですぐに「参った」をした。

新型コロナウイルスの感染リスクがある中、「とにかく早く試合に出たかった」と一昨年12月以来となる国際大会出場に踏み切った。自粛期間中から継続した短距離走などで底上げされた基礎体力を実感する間もなかっただろう。さらに五輪本番まで約半年となり、けがの状態も懸念される。

前回リオデジャネイロ五輪の決勝で敗れたリネールは31歳。昨年2月に連勝が154で止まり、衰えがささやかれていた。だが今大会は体が引き締まり、勝負勘も戻ってきた。五輪3連覇を目指す王者に対し「自分の意識の中では距離がすごく縮まっている」と手応えを語っていた日本のエース格だが、再始動の闘いは不安ばかりが残った。(共同)