巨人が4日、中日に7―3で快勝し、原辰徳監督(61)は長嶋茂雄終身名誉監督(84)に並ぶ球団歴代2位の監督通算1034勝に到達した。長嶋氏のもとで3年間コーチとして帝王学を学び02年以降、昨季まで通算13年間で8度のリーグ優勝、3度の日本一を達成。恩師からは祝福のメッセージを贈られた。大きな節目を迎え、球団で勝利数1位の川上哲治元監督(1066)にあと32勝に迫った。
東京ドームの監督室を原ヘッドコーチがノックする。19年前、01年のシーズン最終盤だ。直立不動で迎えた長嶋監督から「おめでとう!来年から原監督だ」と右手を差し出され全てが始まった。
昭和の大スターの血を平成に継ぎ、原監督が令和の新時代に同じ1034勝に達した。「光栄でございます。ここまでの数字は一足飛びで語ることはできない。平たんな道ではなかった。ユニホームを脱いだ時にね。ページを戻して、1時間は話したい」。独特の言い回しで、感慨を口にした。「言葉の力」も2人に共通する。
首位を快走する中で今季14試合目、14通り目の打順が的中。多彩な采配の礎は、「中間管理職」と表現する3年間のコーチ時代に築かれた。動物的ひらめきで戦う指揮官に細かい指示はされず、失敗も責められない。自身の提示した作戦が受け入れられているか悩む日々が続いた。「うーん」の一言で答えが明かされないことも多く、正解を求めて幅広く計略をめぐらせた。
普及したてのカラーテレビに映る長嶋氏に憧れ、プロ野球を夢見た。監督としても守備時に腰掛け、攻撃時に立つ姿は格好良かった。振る舞いを「教えてくれたのはミスターなのよ」と見てまねた。「守りは“静”。我慢、忍耐」と腕を組んで座る。時にベンチを蹴り上げたい衝動は冷静に鎮められた。「攻撃は“動”」と闘争本能をむき出しにする。
球界の新常識を打ち立てたのも共通項。勝ちパターンの継投を初めて長嶋監督が「勝利の方程式」と呼んだ。野球のグローバル化を掲げる原監督は「世界で通用する野球を」と、グラウンド内の英語を日本球界で初めて巨人の公用語とした。飛球を追う日本特有の「オーライ」は今や死語。12球団の選手が「I got it」と叫ぶ。この日も無観客の6球場で響き渡った。
特別な1勝を締めた沢村から勝利球を手渡されると「そんなことを気遣うより…」と一瞬静止した。「素晴らしい選手、コーチに恵まれた。私は本当の意味での裏方。感謝感謝です」と喜んだ。
背番号は現場復帰した昨季、初就任時の「83」を選んだ。現役時代の「8」と長嶋氏の「3」を合わせた原点だ。「一年一年。1勝2勝。長くやろうとか何勝とかでなく、勝つことの積み重ね。まだ志半ばというところで酌んでもらえれば」。節目を「通過点」と言い、巨人歴代1位まで32勝に迫った。(神田 佑)
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2020-07-05 00:12:50Z
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