6連戦のまっただ中、12球団の開幕投手が今季2度目の先発マウンドに立った。現在の日本球界で最も投球偏差値の高い面々は、どんな筋書きを描いたのか。全球チャートで追跡する。びっしりと低めに張り付いたDeNA今永昇太投手(26)のチェンジアップ、広島大瀬良大地投手(29)のカットボールに注目! 最高峰の技術と勝てる理由がギッシリと詰まっている。
※配球図は全て投手から見たもの
<DeNA6-0阪神>◇26日◇横浜
◆DeNA今永の執念 クロスファイアのチェンジアップを、執ように低めへ集めた。右打者の内角、左打者の外角。本来、抜き球であるチェンジアップは右打者の外角、左打者の内角に沈めるケースが多い。持ち球の中でも“宝刀”の球種を勝負球として多投した。対のボールとして使った高めの直球も実に効果的だった。
- 26日阪神戦に先発したDeNA今永の全球配球図。 ○=直球、◁=スライダー、△=カーブ、▽=フォーク、シンカー、□=チェッジアップ(赤い□はクロスファイアのチェッジアップ)、▷=シュート、ツーシーム、◇=カットボール
◆阪神西勇輝の切れ味 打者の左右、カウント不問で投げ込んでくるのがシュートだ。横滑りのシュートピッチャーは希少種で、対となるスライダーを織り交ぜてベース板をワイドに使った。宮崎のホームランは外角へのシュートだったが、コーナーいっぱいの素晴らしい1球。簡単に「痛恨」という言葉は使えない。
- 26日DeNA戦に先発した阪神西勇の全球配球図。 ○=直球、◁=スライダー、△=カーブ、▽=フォーク、シンカー、□=チェッジアップ、▷=シュート、ツーシーム、◇=カットボール、赤はDeNA宮崎に被弾されたシュート
<ヤクルト5-6巨人>◇26日◇神宮
◆ヤクルト石川の徹底力 シンカーとチェンジアップの制球が抜群で、低めいっぱいへ判で押したように集め続けた。この2球種、真ん中より上へは3球しか入っておらす、しかも打ち気を読んで意図的に投じてカウントを稼いでいる。捕手嶋のリードもしつこく、相手が嫌がるコースと球種を繰り返し要求した。
- 26日巨人戦に先発したヤクルト石川の全球配球図。 ○=直球、◁=スライダー、△=カーブ、▽=フォーク、シンカー、□=チェッジアップ、▷=シュート、ツーシーム、◇=カットボール。赤は真ん中より上のシンカー、チェッジアップ
◆巨人菅野の鬼門 序盤から高めには強い球、低めへは縦の変化球を厳しいコースに集め、ヤクルト打線を封じていった。降板した6回は、ボールが同じポイントに到達していても制御できたか否かに大きな差があり、痛打された。球速に差はなくとも、狙い通りと抜けたボールには、宿る力に大きな差がある。
<中日1-4広島>26日◇ナゴヤドーム
◆中日大野雄大の落とし穴 直球の走りは抜群だった。1回から直球で押し、12球のうち9球が直球で3者凡退。2回の先頭鈴木誠に対しても6球直球を続けた。150キロを2度計測し差し込んだが、7球目の失投でもないツーシームを左翼席へ運ばれた。好調そうに見えたが、先に失点し苦しい展開になった。
◆広島大瀬良のカットボール 抜群のキレを誇った。27のアウトのうち、11個をカットボールで記録した。ストライクゾーンから外れた球でも中日打線に手を出させ、決め球だけでなく、カウント球としても有効だった。9回にカットボールを2安打され、対応されかけたが、最後のアウトもカットボールで奪った。
- 26日中日戦に先発した広島大瀬良の全球配球図。 ○=直球、◁=スライダー、△=カーブ、▽=フォーク、シンカー、□=チェッジアップ、▷=シュート、◇=カットボール。赤の◇はアウトを奪ったカットボール。縁が太い◇は出塁を許したもの
<楽天7-1日本ハム>◇26日◇楽天生命パーク
◆楽天則本昂大の外角直球 要所で外角にビタッと決まる直球が生命線だった。右打者にも左打者にも外への直球をミリ単位で制球した。チェンジアップ、カーブとの緩急も効果的で、ストライクゾーンの中で勝負できる球威を高めた。真ん中から真ん中高めへの失投は皆無で、丁寧さと力強さが同居した内容だった。
◆日本ハム有原の誤算 左打者への制球に苦しんだ。特に外角を狙ったツーシームとチェンジアップは抜け気味になることが多かった。あきらかなボール球が19球もあり、カウントを悪くした。5人の左打者に対し、14打数で8安打を浴び、ストレートの四球と押し出しの死球もあった。らしくない投球になってしまった。
<ロッテ6-5オリックス>◇26日◇ZOZOマリン
◆ロッテ石川は初回に泣く 立ち上がりに苦しみ、流れをつかめなかった。初回だけで25球。半数の12球がボールゾーンへの投球だった。先頭にストレートの四球。4番ジョーンズにはボール3とカウントを悪くし、3-2から甘く入ったカットボールを被弾。2回以降は粘りの投球を見せただけに、この回が痛恨だった。
◆オリックス山岡は3球で降板
<西武7-4ソフトバンク>◇26日◇メットライフドーム
◆西武ニールは持ち味発揮も ツーシームとチェンジアップを中心にボールをコーナーに散らし、強力打線を翻弄(ほんろう)した。やや甘いコースに入っても、相手打者がミスショット。動くボールの威力を見せつけた。7回に四球と味方失策が絡んで逆転を許したが、奪三振8は自己最多。らしさは見せてくれた。
◆ソフトバンク東浜の頭脳的投球 1巡目は直球主体で西武打線を封じたソフトバンクバッテリーだったが、2回り目からは変化球主体にチェンジ。山賊打線に的を絞らせなかった。それだけに、山川に浴びた2発が痛い。いずれも甘く入ったカウント球を捉えられたもの。何とも手痛いコントロールミスとなった。
2020-06-26 23:00:00Z
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