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Tuesday, April 21, 2020

球団トップが腹括って団結を!修羅場知る坂井保之氏 - ニッカンスポーツ

球団トップが腹括って団結を!修羅場知る坂井保之氏 - ニッカンスポーツ

ロッテ、西武、ダイエーなどで球団経営に携わった坂井保之氏(86=野球経営評論家)が21日、新型新型コロナウイルス感染の影響を受けて開幕が大幅にずれ込んでいるプロ野球界について語った。激動の時代を乗り越えてきた経営のプロは、コミッショナー、オーナーら経営者の覚悟をはじめ、野球界が一致団結しながら開幕することを熱望した。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

寺尾 新型コロナウイルス感染の影響で、プロ野球の開幕も先行き不透明な状況に陥っています。

坂井 プロ野球を見ることができず、改めて寂しさを感じている。毎日の「定食」を召し上げられているような心境だ。

寺尾 NPB(日本プロ野球機構)はJリーグと連携し「新型コロナウイルス対策連絡会議」(次回23日予定)を立ち上げながら開幕を模索し続けています。

坂井 同じプロスポーツとしての立場は同じだからいい試みだと思ってみている。

寺尾 これを踏み台に12球団の代表者が会合を重ねています。その間には広報担当者会議も開かれた。

坂井 そのなかで隠し事をすれば世間から袋だたきにあう。プロ野球は社会的責任を負っているから、ファンに訴えていく必要があるということだ。

寺尾 坂井さんは球団経営のプロとして、数々の修羅場を踏んできた。「昭和の妖怪」と称された岸信介元首相の書生からの球界への転身は波瀾(はらん)万丈です。

坂井 今となっては「時代が違う」で片付けられそうだ。かつては非合法なやからが公然とうごめいている時代だったからね。新型コロナウイルス感染とは状況が違うが、重くのしかかった困難だったことは間違いない。

寺尾 黒い霧事件、球団撤退、譲渡、コカイン、賭博問題…など、さまざまな局面を乗り越えた。それが今のパ・リーグ時代、ひいてはプロ野球の隆盛につながっています。

坂井 この期に及んでそんなきれいごとは無用だ(笑い)。しかしプロ野球は破滅的な傷を負いながらも、時代とともに大衆に浸透し、命をつないできたんだ。

寺尾 今までの教えを紹介していると時間がないのでやめます。ただ岸さんをはじめ、各オーナーとのつながりは大変興味深い。

坂井 日本を再建した岸さんには鍛えられたよ。ロッテで永田雅一さん、中村長芳さんに仕えた。西武堤義明オーナーの覇権への野望には根本陸夫さんとありったけのエネルギーを絞り尽くしたつもりだ。ダイエー中内■(いさお)さんとの出会いも忘れがたい。

寺尾 政治も、プロ野球も物足りない?

坂井 そんなことは言ってないだろ。だが今の政治には「色」がない。民衆とともに戦っている姿勢を示すことが必要だ。

寺尾 現時点で開幕は早くても6月以降にずれ込みそうです。

坂井 道義的にはファンに申し訳ないとおわびしても、興行である以上、最大の被害者は球団。でもこの損益のことを一言も言わず、最大限の努力を尽くし、なんとかしてゲームをお届けすることだ。同時に選手を「よしっ!」とやる気にさせることも大切だな。

寺尾 開幕してもソーシャルディスタンスか、または台湾、韓国と同じく、無観客試合になる可能性も出てきます。

坂井 そこは感染症の専門家チームの見解があるから個人的な言及は避けたい。各球場の環境もあるし、どこまで日程を短縮するのか? ナイターのままでいいのか? など、12球団で対応するだろう。

寺尾 確かに開幕しても球場までのアクセスの問題も生じてきます。球場スタンドで距離をとって、電車、バスなど公共機関内が「三密」では本末転倒です。

坂井 そこも近隣で沿線の自治体に筋を通し、根回しをしながら十分な協力をあおぐ必要がある。いずれにしても交流戦、クライマックスシリーズを棚上げしても、レギュラーシーズンの幕を開けてほしい。今まで培ってきた野球の力をみせてほしいものだ。

寺尾 今後は感染状況に加えて政治判断もあるでしょうが、どこかの瀬戸際で「Xデー」の決断を迫られます。

坂井 12球団はさらに議論を尽くすはずで、その意見を集約した末に決定権をもつのはコミッショナーだ。野球界は健全性を維持し、一致団結した姿勢を示しながら前に進んでほしい。そのためには経営者、オーナーも腹をくくることだ。そこはトップの覚悟が求められる。

◆坂井保之(さかい・やすゆき) 1933年(昭8)山口県生まれ、86歳。外資系の企業PR会社を経て、1970年ロッテのフロント入りし、永田雅一オーナーを補佐する。その後、クラウンライター、西武、ダイエー(現ソフトバンク)では球団代表を歴任。西武ライオンズでは堤義明オーナーの下、根本陸夫監督とともに、大胆な球団改革、選手育成を行い、80年代から90年代にかけての黄金時代を築く。94年ホークス球団代表退任。現在、プロ野球経営評論家。

※■いさおは、左のつくりがエに右が刀

【プロ野球界に関わる過去の事件など】

◇黒い霧事件 69年10月、暴力団関係者から敗退行為を持ちかけられた西鉄投手が、八百長に関与したとして永久失格に。70年には西鉄の池永投手ら3人が永久失格処分を受けた(池永は05年解除)。

◇阪神・淡路大震災 95年1月17日、兵庫県淡路島北部を震源にマグニチュード(M)7・3の地震が発生、大きな被害が出た。地元球団のオリックスはユニホームに「がんばろう KOBE」のワッペンを縫いつけ、オリックスとなって初のリーグ優勝。96年は日本シリーズも制した。

◇球界再編 04年6月、近鉄とオリックスが合併合意を発表。1リーグ制などの球界再編問題となり、選手会は球団数維持などを求めて史上初のストライキを敢行。11月のオーナー会議で楽天の新規参入が承認された。

◇裏金問題 04年8月、巨人がドラフト自由獲得枠で獲得を目指していた明大・一場投手に対し約200万円を渡していたことを公表。渡辺オーナーが辞任し一場の巨人入りも消滅。後に阪神と横浜も、金銭を渡していたことが判明し、阪神久万、横浜砂原両オーナーが辞任した。

◇東日本大震災 11年3月11日、東北地方の太平洋沖でM9・0の地震が発生、津波などで戦後最大の自然災害となった。プロ野球は開幕を3月25日から4月12日に延期。地元球団の楽天は同年は5位も13年に初優勝、日本一にもなった。

◇野球賭博問題 15年10月、巨人が福田投手の野球賭博関与を発表。NPB調査委は笠原と松本両投手も行っていたと発表した。巨人は3投手との契約を解除、コミッショナーが3投手を無期失格とした。

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2020-04-21 22:01:00Z
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