新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、東京都内で3月1日に開かれる東京マラソンの主催財団は17日、一般参加者の出場を取りやめ、エリート選手のみで実施すると発表した。約3万8000人が出場予定だったが、200人規模に縮小する見通し。取りやめによる参加料の返金はなく、来年の出走権が与えられるが、再度、参加料が必要になる。
大会は男子の東京五輪代表選考会を兼ねており、日本記録保持者の大迫傑(28)=ナイキ=や前日本記録保持者の設楽悠太(28)=Honda、2018年アジア大会金メダリストの井上大仁(27)=MHPS=らが出場する予定。
エリートでの出場は17年2月以降に、男子は2時間21分以内、女子は2時間52分以内を記録するなどした選手に限られる。車いすの部もエリート選手に限られ、男女合わせて約30人の出場となる見込み。
フルマラソンの参加料は国内ランナーが1万6200円、海外ランナーは1万8200円。主催財団は地震による中止の際などに備えて、「興行中止保険」に加入しているが、新型コロナウイルスによる中止が補償対象外のため、既に準備に投じた費用も多く、参加料を返金できないとしている。参加自粛を呼び掛けていた中国からの参加者について来年の出場権を与え、参加料も免除するとしていたが、対応に差異が生まれてしまうため、扱いについて再検討するとしている。
共催する東京都の小池百合子知事は都庁舎内で対策本部を開催し、「大変楽しみにされていた方々が多いと思う。苦渋の決断だが、ご理解、ご協力をお願いしたい」と述べた。出場予定者の反響も大きく、6回目の申し込みで初めて当選した神戸市のパート従業員、中原好子さん(64)は「五輪イヤーに、トップ選手と同じ舞台で走ることを楽しみに練習に励んでいたので涙が出るほど残念」と悔しがった。ただ「賢明な判断。年齢的にも免疫力が落ちているのを感じていたので、感染するリスクはあると心配していた。この決定は今後の各イベントの指針になると思う」と理解も示した。
東京五輪代表を懸けては3月8日に名古屋ウィメンズマラソンが開催される。エリート選手約140人に一般ランナーを加えて約2万4000人がエントリーしている。大会事務局は「東京マラソンとも情報交換をしている。(対策など)決まり次第、発表する準備をしている」とコメントした。【小林悠太、田原和宏、新井隆一、村上正】
2020-02-17 12:15:31Z
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