オリックスからポスティングシステムでドジャースに移籍する山本由伸投手(25)が30日、大阪市内のホテルで会見を行った。27日(日本時間28日)のドジャースタジアムで入団会見を終えて帰国したが、日本でも自らの言葉で17年のプロ入りから7年間在籍したオリックス、そしてファンに感謝を示した。
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山本は米ロサンゼルスでの入団会見と同様、ドジャース入りの理由に「本当に勝つことへの強い気持ちもすごくいい。とにかく勝ちたいのが一番」と口にした。オリックスでリーグ3連覇&日本一、19年プレミア12優勝、21年東京五輪金メダル、23年WBC世界一を経験。頂点に立ち続け、「勝つことの大切さ」を学んだ由伸らしい決断だったと思う。
根っからの負けず嫌いを自認し、「テストで0点を取っても何とも思わなかったんですが、小さい時から野球だけは負けたくなくて」と笑う。都城高2年夏の県大会準々決勝・宮崎日大戦は0―0の9回2死三塁のピンチで失投を打たれて敗戦。号泣して、野球ノートに「1球の大切さを知った」と書き残した。プロ3年目の19年8月に左脇腹を痛めた時には「食生活も良くなかった。改善します」と細部まで原因を突き詰めて、今では管理栄養士や専属シェフと契約するに至った。大好きな野球で勝つため、「全て野球が中心。得意なことが野球くらいしかない」と言えるだけの努力を惜しまず、NPBのトップに上り詰めた。
そんな一途な姿勢をオリックスの球団首脳も理解していた。ポスティングシステムの承認に向けた話し合いを重ねる中、由伸が「条件はありますか」と聞くと、予想外の答えが返ってきたという。
「条件はないよ。条件をつけて、何かあった時に由伸君が損するでしょ。しっかり投げてくれたら、それで大丈夫だから」
ポスティングはあくまで球団が決定権を持つ。何かしらの制約があっても不思議じゃない。「そう言ってもらえると思っていなかったので、本当に救われました」―。余計な重圧は消え、3年連続の投手4冠を成し遂げ、リーグ3連覇に貢献。両者の信頼関係が成し得たフル回転の偉業だった。
同時に右腕の心の中に常にファンの存在があった。今シーズン中もメジャー挑戦の報道が加熱する過程で「ファンの方に受け入れてもらえますかね」と気にかけていた。ある野球少年から「メジャーに行くんですか? オリックスにいてください」と懇願され、「ありがたいですよね…」と、胸がいっぱいになっていた。
年の瀬に行われた帰国会見は大好きな古巣、オリ党に対する感謝の思いから実現。現地ではドジャーブルーのユニホームに袖を通し、英語のスピーチを交えて「緊張し過ぎた」と用意したメッセージが飛んでしまったが、この日はありったけの気持ちを込めた。「オリックスだから、ここまでこられたというところもたくさん感じている。何より7年間、とにかくどんな時も応援していただいたファンの皆様に感謝しています」。かけがえのない経験を積み、海の向こうでも勝者を目指す。(プロ野球遊軍・小松 真也)
2023-12-30 20:10:00Z
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