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Tuesday, May 30, 2023

霧馬山の強靭な足腰鍛えた乗馬、水汲み…たゆまぬ鍛錬 来年4月までにかなえたい師匠との約束は:東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞

霧馬山の強靭な足腰鍛えた乗馬、水汲み…たゆまぬ鍛錬 来年4月までにかなえたい師匠との約束は:東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞

<霧馬駆ける 大関昇進>㊦

 モンゴルの遊牧民の家庭に育った霧馬山は、物心ついたころから馬を乗りこなし、草原を1日に30キロ走ることもあった。「最高ですよ。モンゴル人は馬に乗るのが一番大事。走っているだけで嫌なことがあっても忘れますから」。今でも目を輝かせて語る。

◆知らなかった角界のしきたり、耐えた原動力は

 少年時代は、2日に1回のペースで数百メートル離れた水くみ場まで行き、いっぱいになったバケツを両手に持ち、帰りの坂道を登った。持ち前のバランス感覚や、土俵際で踏ん張って残す強い足腰は環境が育んでくれた。相撲は未経験。運動神経にすぐれ柔道やバスケットボールに励んだ。砲丸投げの大会に誘われ、まったくの素人ながら出場し優勝したこともあった。

モンゴルでは抜群の運動神経を生かし、柔道に励んだ(撮影日時不明、霧馬山提供)

 柔道の道場では、十両玉正鳳の父から手ほどきを受け、のちの豊昇龍とともに稽古していた。そこで「相撲はどう?」と聞かれ、「行きたい」と何も考えず答えたことで来日し、あれよあれよと入門が決まった。角界のしきたりはよく知らないままだった。

 稽古初日の朝。肩を揺すられ起こされた。外は暗い。何事かと思ったら、稽古が始まった。こんな朝早くとは聞いていなかった。大部屋での生活は兄弟子のいびきで睡眠さえままならない。日本語もまったく分からず「帰りたい」と何度も思った。だが、そのたびに両親の顔が浮かんだ。「親孝行をしたい」。その一心で、稽古で転がされても兄弟子の胸に飛び込んだ。

 少し後、まだ拙い日本語で「横綱になります」と唐突に宣言し師匠の陸奥親方(元大関霧島)を驚かせたことがあった。両国国技館の診療所で横綱日馬富士にばったり出会って刺激を受け、口にした言葉。それ以降、その「約束」を盾に「そんなんで(横綱に)なれるのか」と師匠からは背中を押された。

◆「稽古のおかげで強くなった」師匠と同じ大関へ

 部屋所属の福ノ里(元十両)は「とにかく稽古熱心で素直。それは変わらない」と語る。出稽古を欠かさず、巡業先ではわれ先にと申し合いに参加する。「稽古のおかげでここまできたし、強くなっている。稽古をちょっと減らしていたら、どうなっていたか分からない」と霧馬山。たゆまぬ鍛錬で天性のばねに磨きをかけ、師匠の最高位に肩を並べることになった。

 大相撲への扉を開いてくれた師匠は来年4月に65歳の定年を迎える。ひそかな目標は、それまでに綱を締めること。「そうなったらいい、最高ですね」。横綱は古傷を抱える照ノ富士一人しかいない。一刻も早い新横綱の誕生は角界きっての願いでもあり、今が好機。師匠との約束を果たす。 (禰宜田功)

   ◇

 新大関霧馬山が誕生する。相撲未経験ながらモンゴルから来日し角界入りしてから9年弱。2回に分けて、強靱きょうじんな下半身を武器に番付を駆け上がった半生に迫る。

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2023-05-30 21:00:00Z
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