東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件で、東京地検特捜部が、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で広告大手「電通」の関係者に加え、独禁法の両罰規定に基づき法人としての同社も立件する方向で検討していることが1日、関係者への取材で分かった。
特捜部は談合が疑われているテスト大会の計画立案支援業務の入札について、発注した大会組織委員会大会運営局の元次長と電通の担当者らが参加企業の意向を取りまとめるなど主導的な役割を果たしたとみて捜査。電通については個人だけではなく、法人としての責任も免れないと判断しているもようだ。
問題の入札は平成30年に計26件実施され、電通や業界2位の「博報堂」など9社と、うち2社による共同事業体が総額約5億4千万円で落札した。
関係者によると、元次長は今回の入札に参加予定だった企業の担当者と個別に面会し、企業側の応札に関する意向を把握した上で、組織委に出向していた電通の担当者や電通の担当幹部と共有。発注方法が決まる前の29年から電通が作成していた入札案件ごとに企業名が割り振られた「リスト」の更新を続けていたという。
入札が始まる直前の30年春には、更新されたリストが組織委から電通側へメールで送信された。特捜部の任意の事情聴取に対し、電通の担当者らは事実関係を認めているという。
独禁法には従業員らが入札談合など違法行為をした場合、法人も罰する両罰規定があり、5億円以下の罰金刑を科すとしている。
特捜部は、落札した企業がその後に随意契約で受注した本大会の運営業務なども一体と判断し、捜査を進めているとみられる。随意契約の総額は400億円規模に上る可能性がある。
2023-02-01 16:30:00Z
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