Pages

Saturday, December 10, 2022

アルゼンチン4強、「熱狂」のち「冷や汗」の乱戦制す - 日本経済新聞

アルゼンチン4強、「熱狂」のち「冷や汗」の乱戦制す - 日本経済新聞

「ファンのみんなは興奮して熱意に満ちていた。ここでも、アルゼンチンでもね」。9万人近い観客の大半が水色のシャツを着て大声援を送る、ホーム同然の雰囲気にメッシは感謝の言葉を並べた。その後押しがPK戦でも大きな力になったはず。とはいえ、興奮の熱に選手まで浮かされてしまうのが、良くも悪くもアルゼンチンらしさではあるのだが。

後半途中まではケチのつけようのない完勝ムードだった。35分、オランダ自慢のマンツーマンの堅陣に亀裂を入れたのはメッシのアシスト。守るブリントが目の前を駆け抜けるモリナを見過ごしたのは、ボールを運ぶメッシに目を向けすぎたからだろう。守備陣をボールウオッチャーならぬ「メッシ・ウオッチャー」にしてしまうほど、そのドリブルは脅威だった。

後半のPKもメッシがあっさり決め、自国最多に並ぶワールドカップ通算10点目。2点のリードは、相手ボールを数人で素早く囲い込むアルゼンチンの守備には十分かと思われた。空中戦に活路を見いだしたオランダに1点を返された後も、冷静に時間稼ぎすればすんなり試合は終わったはず。ところが頭に血が上った選手たちの意識はまるで違う方向に向いていた。

「これほど大事な試合にあんな判定は感心しない」とメッシが語るように、前半から警告を連発したスペイン人主審の笛が闘争意識をあおった側面もあるのだろう。募りに募ったイライラと敵意が沸点に達したか、示威行為のようにパレデスが相手ベンチへ乱暴にボールを蹴り込む。それを号砲に乱闘寸前のもみ合いまで起きた。

結局、無用な荒っぽさで相手を突き飛ばして与えたFKから同点に追いつかれるのだから、自業自得の展開だ。PK戦で2つのビッグセーブを見せたE・マルティネスがヒーローになったからよかったものの、そうでなければ満座の観衆から容赦なくブーイングを浴びるところ。冷や汗ものの4強進出だった。

試合後にまで小競り合いが発生する遺恨試合となったが、スカロニ監督は選手をとがめるどころか「タフなパーソナリティーを見せられた」と称賛する。ショッキングな同点劇に動じることなく延長戦で盛り返し、PK戦を制した精神力は確かにタフそのもの。メッシの神業に隠れがちな、武闘派集団の顔がそこにあった。

(ルサイル=本池英人)

【関連記事】

2022 World Cup Qatar

Adblock test (Why?)



2022-12-10 10:39:24Z
https://news.google.com/__i/rss/rd/articles/CBMiPGh0dHBzOi8vd3d3Lm5pa2tlaS5jb20vYXJ0aWNsZS9ER1haUU9ESDEwMFpPMFEyQTIxMUMyMDAwMDAwL9IBAA?oc=5

No comments:

Post a Comment