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Sunday, September 11, 2022

選択肢はいろいろ 3列シートSUVの良しあしを考える - webCG

弱点は改善されつつある

2022年は、売れ筋3列シートミニバンに大きな動きがあった。1月に「トヨタ・ノア/ヴォクシー」、6月に「ホンダ・ステップワゴン」のフルモデルチェンジがあり、いずれも先代から飛躍的な進化を遂げていて評価が高い。ノア/ヴォクは先進安全装備の充実を図り、ステップワゴンは車内の静粛性を徹底的に追求した。2列目、3列目のシートアレンジにはそれぞれが独自の工夫をこらし、スライドや格納の機構を改善している。広さと心地よさは申し分なく、後席乗員の満足度は高い。

日本型ミニバンは長い時間をかけてファミリーカーの理想を追求してきた。その頂点に位置するのが、ノア/ヴォクやステップワゴンである。3列シートSUVが簡単に取って代わることができるはずがない。例えば2017年に追加された「レクサスRX」の3列シートモデルは、かなり残念な仕上がりだった。応急処置的にしつらえられた3列目は狭いうえに視界がふさがれていて息苦しく、路面からの突き上げをダイレクトに受ける。とばっちりで2列目の乗り心地も悪化していた。

その後、各メーカーは研究を重ねたようで、弱点は着実に克服されてきている。「ジープ・グランドチェロキーL」は5200mmという全長を生かして3列目の快適性を改善。「BMW X7」はシートの折りたたみ機構が使いやすく、BMWらしからぬマイルドな走りがファミリーへのまなざしを感じさせた。「三菱アウトランダー」は、PHEVモデルという新しさがある。

子育てファミリーの多くはミニバンの実用性に魅力を感じると思われるが、3列シートSUVも選択肢として視野に入ってくるだろう。すべてを満足させるクルマはないわけで、ミニバンもSUVもスポーツカーのような運転の楽しみを得ることはできないし、オープンカーの爽快感とも無縁だ。クルマのどの部分を重視するかで、おのずと選択は決まる。クルマ選びは自分が何を求めているかを見つめ直すいい機会なのだ。これからの人生にとって必要なのは、ミニバンかSUVか。悩むのもまた楽しい時間である。

(文=鈴木真人/写真=ステランティス ジャパン、三菱自動車、ジャガー・ランドローバー・ジャパン、トヨタ自動車、本田技研工業、向後一宏、webCG/編集=関 顕也)

シートアレンジの自由度では、3列シートSUVはミニバンにはかなわない。シート格納時の荷室の広さも、ミニバンは圧倒的である(写真は「トヨタ・ノア」)。
シートアレンジの自由度では、3列シートSUVはミニバンにはかなわない。シート格納時の荷室の広さも、ミニバンは圧倒的である(写真は「トヨタ・ノア」)。拡大
モデルチェンジに伴い背もたれの高さと座面の厚みを増した「ホンダ・ステップワゴン」の3列目シート。割り切りが求められることの多い3列シートSUVの3列目とは異なり、「十分快適に過ごせる」とうたわれている。
モデルチェンジに伴い背もたれの高さと座面の厚みを増した「ホンダ・ステップワゴン」の3列目シート。割り切りが求められることの多い3列シートSUVの3列目とは異なり、「十分快適に過ごせる」とうたわれている。拡大
レクサスの3列シートSUV「RX450hL」の3列目シート。空間的にはミニマムで、乗り心地もいまひとつ。
レクサスの3列シートSUV「RX450hL」の3列目シート。空間的にはミニマムで、乗り心地もいまひとつ。拡大
2022年7月には、メルセデス・ベンツが開発した3列7人乗りのフル電動SUV「EQB」が上陸。3列シートSUVの選択肢が、またさらに広がった。
2022年7月には、メルセデス・ベンツが開発した3列7人乗りのフル電動SUV「EQB」が上陸。3列シートSUVの選択肢が、またさらに広がった。拡大

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