アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の東地区が、各地で開幕した。I組の川崎フロンターレは、蔚山(韓国)と1-1で引き分けた。0-1の後半ロスタイムに、途中出場のDF車屋紳太郎(30)が、意地の同点弾。昨年の同大会の決勝トーナメント1回戦で敗れた相手から執念の勝ち点1を奪った。

   ◇   ◇   ◇

「ジョホールバルの悲劇」とは、させなかった。0-1の後半ロスタイムで迎えた左CK。敗戦濃厚の中、後半42分から途中出場のDF車屋は集中を切らすことはなかった。相手GKがファンブルしたところに、左足で押し込んだ。J1開幕戦の2月18日の東京戦(等々力)で、右肩関節脱臼を負い、それ以来となる公式戦出場。復帰戦で、チームを救ってみせた。

「ジョホールバルの歓喜」の地での一戦だった。97年の11月16日、日本代表が、初のW杯出場を決めた場所で、因縁の相手を迎えた。昨年のACLの決勝トーナメント1回戦でPK戦の末に敗れた蔚山との再戦。鬼木監督が「昨年の悔しさがあるので、自分自身もそうですし、選手、クラブとしても全員がそういう思いをぶつけられるゲームにしたい」と話していた中で、苦しいリハビリを乗り越えた車屋が、貴重な勝ち点1をもたらした。