1966年に創部したコカ・コーラのラグビー部(コカ・コーラレッドスパークス)が2021年度限りで活動を終了させると4月30日、発表した。記者の問い合わせに同社広報は、ホームページでの記載に倣ってかこう述べた。
「弊社は、中長期的な事業環境の変化に備えて、改革の取り組み自体はコロナ以前より前倒しでおこなっている。飲料ビジネスの成長を原則とし、特化していくために、あらゆる取り組みの見直しを図っている。今回の件もそのひとつです」
クラブ側のスタッフ今回の件を「残念」としながら今度の件へは「窓口を統一したい」と希望。企業側の広報が応対した。「あらゆる取り組みの見直し」の一環でラグビー部がなくなる、と言えば、業務のスリム化という言葉が浮かび上がるだろう。
今回の件が現場に伝わったのは、現在開催中の国内トップリーグプレーオフトーナメントの1回戦終了後。今季は下部トップチャレンジリーグに参戦し、同トーナメントへの出場権を勝ち取っていた。
所属選手のセカンドキャリアについては「選手の意思を尊重したサポートをしたい」(同前)。他チームへの移籍を希望する部員、今夏の開催が議論されているオリンピック東京大会の男子7人制日本代表候補勢には、今後も福岡県内の練習場所を貸与する。
「選手様々の契約事情をございます。各自にとって最適なサポートがしたい。オリンピックの広報選手もおります。代表活動に伴う費用などもサポートしたいと考えています」
同社ではカリン・ドラガン氏が2019年3月26日付で代表取締役社長に就いている。ラグビー部を「見直し」の対象とした特段の理由について問われても、同社広報は「成長基盤の確立を進める改革の取り組みのなかのひとつ。飲料ビジネスに特化する」と繰り返した。
オリンピック東京大会の聖火リレーの支援事業は日本コカ・コーラの領域とあり、ラグビー部を傘下に置いていたコカ・コーラボトラーズジャパン社とは別企業。
日本ラグビー界は現在、2022年1月からの新リーグ開幕へ準備中。同リーグにはコカ・コーラを含む25チームが参加申請をしており、計3つのディビジョンに分ける審査の大半は12月末までに済んでいる。
コカ・コーラが上位12チームによるディビジョン1に入っていたか否かは不透明で、その決定と今度の活動停止との関連性についても、同社広報は「先ほどからの繰り返しになりますが、様々な見直しをコロナ以前よりおこなっていて、そのひとつがこの結果」と述べた。
――では、クラブが新リーグへ参入申請をしている間にも「見直し」が「検討」されていたということか。
「様々な見直しの検討を図っていることがあり、そのなかのひとつでございます」
コカ・コーラには現在、元日本代表監督の向井昭吾部長兼監督、リオデジャネイロ五輪で7人制男子日本代表の主将だった桑水流裕策、ワールドカップ日本大会の男子15人制日本代表だったウィリアム・トゥポウらが在籍。やはりワールドカップで活躍したラファエレ ティモシー(現神戸製鋼)が最初に所属したトップクラブも同部だった。
前出の新リーグは、加盟する各クラブが入場料などの収入を得られる組織を目指している。責任企業への依存から脱却するモデルの確立が期待されるが、当面は競技力とファンサービスの質向上のため多額の予算がかかる可能性もある。リーグの名称やディビジョンの振り分けが決まる6~7月までの間、その他24チームの活動規模に変更があるか、注目される。
2021-04-30 10:17:39Z
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