新たな女傑の誕生だ!「第81回オークス」が24日、無観客の東京競馬場で行われ、断然の1番人気に推されたデアリングタクトが直線鋭く伸びて快勝した。牝馬クラシック2冠は18年アーモンドアイ以来15頭目。無敗での2冠達成は57年ミスオンワード以来63年ぶり2頭目の偉業となった。鞍上の松山弘平(30)はG1・3勝目。今年重賞7勝はルメールと並びトップに立った。
やっぱり強かった!豪快な末脚で2冠目のゴールに飛び込んだデアリングタクト。キャリア最少タイの4戦目Vで、63年ぶりの無敗2冠をやってのけた。鞍上の松山は安どの表情。断然人気の重圧と、冷や汗もののレース展開。「なんとか期待に応えることができて、ホッとしています。馬がよく頑張ってくれて、よく勝ってくれたなという感じです。頑張ってくれた馬に“ありがとう”と言いたい」と喜びをかみしめた。
無敗対決が注目されたデゼルでも、桜花賞の雪辱を期すクラヴァシュドールでもない。最大の敵は“壁”だった。直線残り400メートル。後方から直線勝負に懸けた松山は前を行くマルターズディオサの外に持ち出そうとしたが、一瞬早くリアアメリアにポジションを取られる。万事休したか!?だが、今年絶好調の鞍上はディオサと内フィオリキアリの間にあったわずかなスペースを見逃さない。「これなら」と急きょ内へ進路変更。馬場の真ん中に馬を導くと、デアリングタクトは待ってましたとばかりに末脚を爆発させた。
鞍上の鼓舞に応えてぐんぐん加速し、前で粘る馬を次々にかわした。進路確保に手間どりながらも、上がり3F33秒1は18年アーモンドアイ(33秒2)を上回るオークス最速記録。次元の違う末脚で改めて強さを証明した。愛馬を信じ抜いた松山は「前が止まりにくい馬場ではあるなと感じていたけど、とにかく位置取りより馬の力を信じて、道中はリズム良く走ろうと思っていました。真ん中が空いてからは、速歩(はやあし)で抜けてくれた。馬の力が強かった」と称えた。
桜花賞では道悪をものともせずに驚異的な脚をさく裂させ、今回は初の長距離輸送も2400メートルも難なくこなした。その能力は底知れない。オークス初挑戦で初制覇の杉山晴師は「1番人気だったのでホッとしています。マークが厳しいタフな競馬でしたけど、一番の持ち味である強い精神力で乗り切ってくれたんだなと思う。デビューしたときは(2冠馬になるとは)思っていなかった」と振り返った。
もちろん、見据える先は3冠目、秋華賞(10月18日、京都)だ。今度は史上初の無敗での牝馬3冠が懸かる。「しっかり夏をさらなる成長に充てて、もっと強いデアリングタクトを京都競馬場でお見せできるように一生懸命頑張っていきます」と師。次世代エースと63年ぶりに誕生した無敗の2冠馬。その伝説は、まだ始まったばかりかもしれない。
◆デアリングタクト 父エピファネイア 母デアリングバード(母の父キングカメハメハ)牝3歳 栗東・杉山晴厩舎所属 馬主・㈱ノルマンディーサラブレッドレーシング 生産者・北海道日高町の長谷川牧場 戦績4戦4勝 総獲得賞金2億9389万1000円。
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2020-05-25 03:25:39Z
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