◆ＪＥＲＡセ・リーグ 巨人５―０阪神（３０日・東京ドーム）
巨人が宿敵・阪神に記録ずくめの２連勝で、２２年９月以来、３連戦では５７３日ぶりのカード勝ち越しを決めた。６回、岡本和真内野手（２７）の１号２ランで先制すると、続く坂本勇人内野手（３５）も１号ソロ。新旧主将のアベック弾で主導権を握り、７回には松原の２点打でダメを押した。阿部慎之助監督（４５）の継投もハマって４投手で虎をシャットアウト。開幕から２戦連続の完封勝利は新監督としては球団初、チームとしても８３年ぶりの快挙だった。
豪快なフォロースルーから、岡本和が放物線を描いた。バックスリーン左に打球が着弾した。今季１号は均衡を破る決勝２ラン。悠然とダイヤモンドを一周して、ベンチへ戻るとニッコリと笑った。
「行ってくれーっと思っていた。ジャストミートはしてなかったので、上がりすぎたかなと思っていたけど、いい結果になってよかった」
両軍無得点の６回無死一塁。１ボールから大竹の真ん中１３５キロカットボールをしばき上げてスタンドへ届かせた。開幕戦はスタメン野手で唯一の無安打だったが、２ランを含む２安打をマーク。「僕だけ打率が・０００だったので早く打ちたかった」。思いを結果につなげた。
ファインプレーが号砲への流れをつくった。４回１死一、三塁。「頭に入れていた」とスクイズを狙った阪神・坂本の浅いフライに猛然とダッシュして、ダイビングキャッチ。素早く起き上がり、三塁へ送球して併殺完成。ビッグプレーで救った。開幕戦では梶谷が好守からのアーチで、勝利の立役者になったばかり。「一緒にしちゃダメですよ。あっちの方（梶谷）がだいぶ超難易度が高いですよ」と謙遜したが、負けない輝きだった。
熱い決意を宿し、臨んでいる。今季から阿部監督が就任。指揮官が現役だった時、ロッカーは隣だった。「過ごし方も見てきて、いろいろ野球に対して勉強させてもらった。相手が気になることや嫌なことをするとか、ピッチャーが困っている時に自分が動くとかが印象に残っている」と技術だけではない部分も含め、背中を追いかけてきた。
昨年１０月中旬。Ｇ球場のクラブハウス内で直接、就任直後の新監督から言葉をかけられた。「とにかくチームのために頑張ろう」。シンプルだが、熱いメッセージに「僕もしっかり頑張りたい」と奮い立った。
だからこそ妥協はない。昨季は打率２割７分８厘、４１本塁打、９３打点の好成績を残したが「もっと打てただろうという感覚があった」。複数のバットや打席での立ち位置などを試行錯誤しながらキャンプでは連日居残り練習。「やりたいことがやれた」とオープン戦最終戦の２４日の楽天戦（東京Ｄ）に待望の１号を放ち、手応えをつかんで開幕できた。７打席目での一発は１年目を除けば最速。指揮官も「一番本人がホッとしていると思う。みんなが勇気づけられたホームランだった」と賛辞を惜しまなかった。
昨季一度もカード勝ち越しがなかった阪神に２連勝。「この３連戦が大事だと思っているんで、明日も勝ちたい」。頼れる男がＶ奪還への道しるべとなる。（宮内 孝太）
【記録メモ】
▼…岡本和（巨）が６回に今季１号の先制２ラン。年度別の１号本塁打に要した試合数で、開幕２戦目は１８年と並んで最も少ない試合数。代打出場３試合目にマークした高卒１年目の１５年を除くと、７打席目の１号は自身の最速となった。また、１号が阪神戦は２年連続で５度目。
▼…６回には坂本も続いて今季１号。２人が同じ試合で打った“アベック本塁打”は、昨年９月１５日の中日戦以来、通算３０度目。２者連続で放ったのは、昨年の５月４日ヤクルト戦５回（（３）坂本→（４）岡本）、前記９月１５日の中日戦４回（（４）岡本→（５）坂本）に次いで３度目になる。２人がそろって打った３０試合の勝敗は、２３勝６敗１分けで．７９３の高勝率だ。
◆宮本和知Ｐｏｉｎｔ
和真のチャージにキャプテンシーを感じたよ。バントの構えと同時に猛然と前にチャージして併殺を完成させた。監督が代わって、主将２年目。気持ちが入っているのが見ていて伝わってくるよ。６回は和真、勇人の一発で主導権を握った。守備からリズムをつくって、打つべき人が打つという理想的なゲームだった。
途中から出た萩尾、松原も少ないチャンスで結果を出した。これは佐々木効果。他の若手、中堅にやる気を与えている。野手陣にも好循環が生まれているね。
2024-03-30 20:00:00Z
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