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井上尚弥選手(30)は世界チャンピオンになってから10年間無敗。独占取材からモンスターの強さに迫ります。
■2階級4団体統一 史上2人目
27日、歴史的一戦に勝利した井上尚弥選手の一夜明け会見。
井上選手
「一番強い井上尚弥を見せたい。(今の自分の点数は)70点、まだ30点の伸び代はある」
ボクシング史上、わずか2人しか成し遂げたことのない2階級での4団体統一。
井上選手
「倒すためのフルパンチで打ったパンチなんで」
井上選手が、強さの果てに見る景色とは。
■スーパーバンタム級…4階級目となる挑戦
令和5年は、井上選手にとって特別な年になりました。
井上選手
「4団体のベルトを返上することをご報告いたします」
およそ5年をかけて手に入れた、バンタム級主要4団体すべてのベルトを返上し、階級を上げることを宣言しました。
ライトフライ級でデビューした井上選手にとって、スーパーバンタム級は4階級目となる挑戦でした。
初戦の相手はスティーブン・フルトン選手(29)。スーパーバンタム級でデビューし、9年間、無敗を貫く絶対王者です。
5年ぶりのチャレンジャー。結末は、8ラウンド1分14秒でTKO勝ち。階級の壁を圧倒的な力で乗り越えてみせたモンスターの姿に、世界が震えました。
■フルトン戦から2カ月 絶対王者としての風格に
フルトン戦から2カ月、公の場に姿を現した井上選手。その身にまとっていたのは絶対王者としての風格でした。
井上選手
「スーパーバンタムで当たるであろう壁に当たらなかった。フェザーにあげたいっていうフルトンに、あの勝ち方ができた。そこに苦戦して、なんとなく勝ち切ったというのであれば、もっと成長させたいとかあったと思う。まだまだ底が見えず」
井上選手は、どこまで強くなるのでしょうか。
井上選手
「(Q.プロでやり始めた時、今の自分は想像できたか?)1ミリもしていないですよ。デビューした時、スーパーバンタムなんて全く考えていなかった」
「(Q.今の自分が(ボクシングを始めた)小学1年生の自分に声をかけるなら)そのまま頑張れって言います。大丈夫だ、そのまま頑張れって」
■トレーナーの父が語る「井上尚弥の姿」
チャンピオンにとって神聖な場所があります。(神奈川県・座間市)
井上選手の父であり、トレーナーである真吾さんに案内されたのは、生まれ育った自宅の離れにある練習場です。
真吾さん
「ジムで練習できればいいんですけど、できない時に、自宅から近いじゃないですか。最近も合間で、ここで練習していますよ。減ってはいますけど」
父が自ら仕事場を改装し、ボクシングに最優先で向き合える環境を作りました。
真吾さん
「『ボクシングやりたいんだけど教えてよ』みたいな感じで。常に自分が練習で鍛えているのを見ていた。その時に言ってきた」
井上選手は小学1年生の時にボクシングと出会いました。アマチュアボクサーだった父の背中を追い掛けました。
そんな父の目に焼きつく一戦は、小学6年生で臨んだ人生初の試合です。
真吾さん
「めちゃくちゃ緊張しているんですよ、初めての試合なので。ただカーンってゴングが鳴った時に、距離の取り方がダントツなんですよ。相手の子が倒れちゃったんですけど。その時に大げさに言うと、頭2つ3つ抜けてると感じました」
■“揺るがぬ信念”「勝ちに徹する気持ちじゃないと」
こうして始まった井上選手の旅。
プロデビュー後は、当時、日本史上最速となる6戦で世界王者を奪取。※2014年エルナンデス戦 6ラウンドTKO勝ち
以来10年間、4階級を股に20試合、無敗のまま積み上げた世界戦でのKOは18。※タパレス戦前
タパレス戦を前に行った単独インタビュー。撮影現場は、これまでにない緊張感に包まれていました。
井上選手
「今もう30歳になって、残されたキャリアも数えるくらいになってきている。ここに来て、1つ1つの試合が、どんな意味合いを持って、その試合に勝てば、次どんなステージがあるのかってところも、前とは状況が変わってきている」
階級の壁を越え、ビッグマッチを成功させてきたモンスター。
井上選手
「この間のフルトン戦は、試合をしながらどう動こうとか考えながらできた。キャリアを積んできて、練習でしてきたものが出せる感覚になってきたな。ようやく掴めてきたなって」
勝者に光が当たる一方、一度の負けが人生を一変させる、ボクシングという過酷なスポーツ。だからこそ、井上選手には揺るがぬ信念があります。
井上選手
「ボクシングって1対1の戦いで、どっちが強いか弱いか、そこの一択だ。だからこそ自分の強さを追求していける。1つの負けがデカいボクシングにおいては、自分自身が勝ちに徹するような気持ちじゃないと、ここまで登りつめられない」
■井上選手「ボクシングをより好きになってる」
そして26日、世界スーパーバンタム級4団体王座統一戦で、マーロン・タパレス選手と対戦した井上選手。4ラウンドでダウンを奪いましたが、一筋縄ではいきませんでした。
この試合、井上選手の右を徹底的に対策してきたタパレス選手は腕をL字に組み、オープンスタンスに。井上選手の右が届かない距離でガードを固めます。
そんな中でも井上選手は、スピードを生かしたコンビネーションで、相手の体力を削っていきます。
井上選手
「やっぱりでもスピードですかね。当てづらい相手に当てていくにはスピードが必要」
「一瞬一瞬で、何が一番適しているのかを選択しながら戦っていた。あの瞬間瞬間、あれがベストな対応」
迎えた10ラウンド。ついにL字ガードを解いたタパレス選手。すると、井上選手は右ストレートを放ちます。
井上選手
「(Q.10ラウンドの右ストレートは意識していた?)倒すためのフルパンチで打った」
最強の者のみが歩み続けることを許される旅路。モンスターに聞きました。
井上選手
「(Q.ボクシングとは、どういう存在)始めたのが小学1年生で。ボクシングに対する熱や愛は強くなっている。ボクシングをより好きになってる」
(「報道ステーション」2023年12月27日放送分より)
2023-12-28 06:29:00Z
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