チョーさんの一撃が浜風に乗った。巨人長野久義外野手(38)が阪神との「伝統の一戦」で、今季初本塁打を放った。

1点リードの8回に代打で登場。阪神岩貞から左中間最深部への1号3ランで勝負を決定づけた。聖地での1発は18年5月以来、5年ぶり14本目だった。ベテランの打棒でチームは今季2度目の3連勝を飾った。

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浜風をも味方につけた。長野が8回1死一、三塁で代打で登場した。点差は1点。5点リードから猛追を受ける展開でチャンスに出番は訪れた。カウント2-1。低めへ攻め立てる阪神岩貞のスライダーを真芯でとらえた。左中間最深部へ伸びていく打球は、虎党の悲鳴をも切り裂く3ラン。「風で入ってくれました。甲子園の打感がすごい好きなんで、ここで野球やることがすごいうれしいですね」。伝統の一戦をかみしめた。

巨人の長野が伝統の一戦に帰ってきた。背番号7。胸に「TOKYO」と書かれたユニホームは、18年以来5年ぶりに袖を通した。甲子園では、18年5月26日に桑原から打って以来1796日ぶりの1発。今季から鳴り物、声出し応援が復活。かつての姿を取り戻した場所で「応援も復活して、どこの球場よりも、応援がすごいんじゃないですかね。その中でもジャイアンツのファンのみなさんが、あの(左翼席の)一角でタイガースファンに負けないくらいやってくれているんで」。甲子園での阪神戦では通算14本目。風だけでなく声援にも乗せられた復帰第1号だった。

シーズン開幕直前、あの光景を思い出した。12年、日本一での銀座パレード。「12年以来日本一になれていない。銀座のパレードを経験させてもらい、最高の瞬間だった。それを若い選手にも一緒に味わってほしい。おいしいお酒を飲めるように頑張っていきたい」。あの味をもう1度味わうために巨人に戻ってきた。

試合前練習では、甲子園の芝生の感触を確かめた。今は代打起用が続くが、スタートから出る準備は続けている。「いいところで使ってもらっているのですけど、できればプレッシャーがかからないところで、打ちたいなと思います」。打った直後、守備についた左翼でスタンドから浴びた、万雷の拍手。この光景は伝統の一戦でしか見られない。【栗田成芳】

▽巨人原監督(代打1号3ランの長野に)「彼のホームランを何年間も見ていないのでね。そういう意味ではまだまだ若いぜ、まだまだ力はあるぜというところでしたね。うちの切り札ですから。非常によかったと思いますね」

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