Pages

Tuesday, October 18, 2022

焦点:中国で高級品志向がスケールダウン、アイスやビールが人気 - ロイター (Reuters Japan)

[上海 14日 ロイター] - 中国の消費者といえば、最高級のハンドバッグや衣料品、アクセサリーに気前よく支出することで有名で、それが西側諸国の高級品ブランドを支えてきた。

 中国の消費者といえば、最高級のハンドバッグや衣料品に気前よく支出することで有名で、それが西側諸国の高級品ブランドを支えてきた。だが今年は、景気低迷の逆風が吹きつける中で、そうした散財への衝動はほぼ霧散した。写真は9月、上海のアイスクリーム店「ダル・クオレ」で撮影(2022年 ロイター/Aly Song)

だが今年は、景気低迷の逆風が吹きつける中で、そうした散財への衝動はほぼ霧散した。いま、中国の消費者の関心を集めているのは、手の込んだ食べ物・飲み物や最先端のスマート家電など、生活の中でのささやかなぜいたくである。

こうしたトレンドに乗ったブランドの1つが貴州茅台酒だ。看板商品は中国での宴会の際によく飲まれる「白酒」。ボトル1本の価格は300ドル(約4万4000円)。5月、白酒入りのアイスクリームを1カップ10ドルで発売したところ、初日から250万元(約5100万円)の売り上げを稼ぎ出した。

アンハイザー・ブッシュ・インベブ傘下で、香港証券取引所に上場するバドワイザー・ブルーイング・アジアパシフィックは、プレミアムビールやクラフトビール、さらには数百ドルで販売される贈答用ボックス入りビールの特別パッケージが予想外に販売好調だと明らかにしている。

オンライン小売大手JDドットコム(京東商域)によれば、同社が年半ばに展開するセール「618」では、ゲーム機や節水機能付きシャワーヘッドからスマート歯ブラシ、プリンターに至る家電製品の売上高が前年比で実に4倍に膨れあがったという。

調査・マーケティング会社、チャイナ・スキニーの創業者マーク・タナー氏は、「(中国の消費者は)こうしたささやかなぜいたくを自分へのご褒美にしていて 、目新しいものに惹かれている」と指摘する。

人口全体のいくつかのセグメントで極端な倹約志向が見られる中で、こうした消費トレンドの変化が生じている背景には、深刻な経済の停滞がある。

中国の「ゼロコロナ」政策、そしてそれに基づく頻繁なロックダウン(都市封鎖)により、企業活動、さらには観光など通常の消費対象である活動が減速してしまった。不動産セクターも危機に陥る一方で、テクノロジー産業や民間教育サービス産業でも、規制強化を反映して雇用を急激に絞り込み、若年層の失業率が急上昇する結果につながっている。

今年第2・四半期は辛うじてマイナス成長を免れ、1─8月の小売売上高は前年同期比で0.5%とわずかな成長を見せたものの、ここ数年見られた8─9%の成長に比べれば天と地ほどの開きがある。

特に打撃を受けているのが西側の高級品ブランドだ。バーバリー・グループや、「グッチ」「イブ・サンローラン」などを抱える仏高級ブランドグループのケリングは、いずれも4─6月期の中国における売上高が前年比35%減少したと発表した。

国内ファッションブランドでマーケティングを担当する上海市民のルーシー・ルーさん(31)は、多くの消費者と同様にお金の使い方を変えたと話す。

「以前はハンドバッグでも化粧品でも、気に入ったら迷うことなく買っていた。でも最近では、買う前に本当に自分がそれを必要としているのか自問するようにしている」

さらにルーさんは「今のところ、主なぜいたくは外食だ」と言う。

手の込んだ食べ物・飲み物を販売する企業にとって、こうした消費行動の新たな変化は、事業拡大に向けた絶好のチャンスだ。

上海を拠点とするアイスクリームブランド「ダル・クオレ」では、1スクープの価格が約40元(約820円)。創業者のジェラード・ロウ氏は、市内に5号店をオープンする計画を立てている。2カ月にわたる厳格なロックダウンが解除された後、すぐさま来店者数が通常レベルに戻ったことに勇気づけられた。

またロウ氏は、かつての主力だった若者に代わって、アイスクリームを楽しむ家族連れの来店が増えていると指摘する。

「パッとしないご時勢で人々が気晴らしを求めているときこそ、アイスクリームのような禁断の喜びの出番だ」とロウ氏は言う。

(Casey Hall記者、翻訳:エァクレーレン)

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 焦点:中国で高級品志向がスケールダウン、アイスやビールが人気 - ロイター (Reuters Japan) )
https://ift.tt/drD1uQy

No comments:

Post a Comment