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Friday, April 1, 2022

糖尿病治療に広がる選択肢…血糖値改善、体重減 症状で薬を選ぶ時代に - ヨミドクター

 糖尿病は、血糖値が高い状態が続き、放置すると脳 梗塞こうそく や心臓病につながる病気です。最近は、高血糖の状態を改善させるだけでなく体重の減少が期待できる薬なども多く使われており、治療薬の選択肢が広がっています。(利根川昌紀)

 血糖値は血液中に含まれるブドウ糖の濃度です。食事をして上昇すると、 膵臓すいぞう からインスリンというホルモンが分泌され、ブドウ糖が筋肉などに取り込まれて濃度が下がります。

 しかし、インスリンの分泌量が少なかったり働きが弱かったりすると、高血糖の状態が続きます。空腹時の血糖値が126ミリ・グラム/デシ・リットル以上、過去1~2か月の血糖状態を示すヘモグロビンA1cが6・5%以上の場合などには、糖尿病と診断されます。

まず食事や運動で

 糖尿病は発症の要因により「1型」と「2型」に分けられます。遺伝や生活習慣の影響が大きい2型ではまず、食事の量や内容を見直し、運動する習慣を身につけることが重要です。数値が改善しなければ、薬を使いインスリンの効きを良くしたり、分泌を促したりします。中には、低血糖になりやすい薬もあります。

 治療薬のうちDPP―4阻害薬は現在、多くの患者に使われています。インスリンの分泌を促すインクレチンというホルモンの働きを強める作用があります。インクレチンは食事をすると、小腸などから分泌されます。この薬は低血糖を起こしにくいのが特徴です。

 一方、SGLT2阻害薬やGLP―1受容体作動薬は、体重の減少が期待できると考えられています。

 SGLT2阻害薬は、尿とともに糖を排出させる働きがあります。心不全による入院リスクを下げたり、腎臓の機能低下を抑えたりする効果も確認されています。GLP―1受容体作動薬は、インクレチンの一種であるGLP―1の働きを強めます。注射薬に加え、2021年2月には飲み薬も登場しました。

症状で薬使い分け

 糖尿病患者は肥満の状態だったり、心臓や腎臓の機能が低下していたりするケースも多く、これらの薬は選択肢の一つとなります。東京医大病院糖尿病・代謝・内分泌内科教授の鈴木亮さんは「今は糖尿病以外の病状も考慮し、治療薬を選ぶ時代になりつつあります」と説明します。

 横浜市の男性会社員(51)は8年ほど前からSGLT2阻害薬を服用しています。一時は体重が96キロありましたが、今は90キロ台前半を保っています。男性は「毎日6000歩程度歩き、夜はご飯や麺類の量を少なめにするよう心がけています」と話しています。

 主治医の松葉医院(川崎市)院長の松葉育郎さんは「治療には生活習慣の改善も不可欠です。体重が減れば高血圧や脂質異常症を抑えることにもつながります」と強調します。

 21年9月には、インスリンの分泌を促すとともに、インスリンの効きを良くする作用がある飲み薬のイメグリミンも登場しました。松葉さんは「薬の組み合わせの選択肢が増え、場合によっては種類を減らすことができます。新しい薬は予期せぬ副作用が出ることもあり、慎重に使うことが大切です」と指摘します。

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