オミクロン株の感染拡大といった気が抜けない状況とともに、「ウィズ・コロナ」が当り前になりつつある。感染の「波」の谷間では、社会も経済も少しづつ平時に戻ってはいるものの、企業の現場で継続課題になっているのが“テレワーク”の扱いだ。コロナ禍において緊急措置的にテレワークを導入したものの、状況が落ち着けば“原則出社”に戻す企業が少なくない一方、従業員の間ではテレワークの継続を望む声も強い。コロナ禍でのテレワークを巡る状況と今後への対応について、一般社団法人日本テレワーク協会の村田瑞枝事務局長に話を聞いた。(フリーライター 古井一匡、ダイヤモンド社 人材開発編集部)
企業からの問い合わせが緊急事態宣言で急増
国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が発見されたのが2020年1月のこと。翌2月にはクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の寄港問題が起こり、同年4月に1回目の緊急事態宣言が発令され、日本社会の経済活動にも急ブレーキがかかった。その後、感染状況は縮小と拡大を繰り返し、コロナ禍の2年あまりで、多くの企業・団体は従業員の出社停止や制限とともに、テレワークの導入を急速に進めた。日本テレワーク協会(*1)にも問い合わせが相次いだという。
*1 一般社団法人日本テレワーク協会(会長:栗原 博、所在地:東京都千代田区、以下日本テレワーク協会)は、ICT(情報通信技術)を活用した、場所と時間にとらわれない柔軟な働き方である「テレワーク」を広く社会に普及・啓発することにより、個人に活力とゆとりをもたらし、企業・地域の活性化による調和のとれた日本社会の持続的な発展に寄与することを理念に活動しています。(同協会ホームページより)
村田 当協会は1991年に前身の日本サテライトオフィス協会としてスタートし、2000年の名称変更以降、主に、テレワーク(*2)という働き方の調査研究、普及促進活動を展開しています。当然、コロナ前もテレワークについての企業からのご相談などに対応してきましたが、最初の緊急事態宣言が出たときは一気に問い合わせが増えました。
*2 総務省は、テレワークを「ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」と定義している。テレワークには、自宅利用(在宅勤務)型・モバイルワーク型・サテライトオフィス型などがある。
最初の頃はテレワークの助成に関する問い合わせが多く、また、中小企業を中心に「そもそも、テレワークはどう行えばいいのでしょうか?」といった質問もありました。それが、夏頃になると、(従業員への)手当ての扱いや就業規則の見直しという実務的な内容に変わり、(2020年の)11~12月になると、セキュリティについての問い合わせなどが目立ち、昨年2021年1月以降はオンラインでのコミュニケーション方法や自宅におけるテレワーク環境の整備についてのものが多くなりました。
いまや、テレワークはコロナ禍による一過性のものではないことを多くの企業や従業員が認識するようになったと思います。そして、最近は企業の問い合わせ件数こそ落ち着いていますが、ご自分の職場や社内体制が整わないことについて、個人からの相談をいただくこともあります。
村田瑞枝 (むらた みずえ)
一般社団法人日本テレワーク協会事務局長
1991年、日本電信電話株式会社入社。人事部人材開発室を経て、マルチメディアビジネス開発部に所属。以降、25年間WEB戦略策定及び実施サポート、システム構築、デジタルマーケティングなどインターネット関連業務に携わる。中小企業診断士。1級ファイナンシャルプランニング技能士。ファイナンシャルプランナー(CFP)、WEB解析士、ロングステイアドバイザー。2020年4月より現職。
からの記事と詳細 ( “緊急措置”から“当たり前の選択肢”へ、ウィズコロナでのテレワークのあり方 - ダイヤモンド・オンライン )
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