どんと胸を張れ! 阪神は広島の若手4投手の完封リレーに屈し、開幕からの連勝が3で止まった。ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)は4打数1安打、3三振。7回は右前打から二塁を狙ったヘッドスライディングで走塁死となり、9回は最後の打者になった。プロ公式戦で初めて味わう黒星に悔しがったが、矢野燿大監督(52)は大型ルーキーの積極性を認めた。

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プロで初めて味わう敗戦に、悔しさがあふれ出た。0-1点の9回2死。バッターボックスにゆっくりと佐藤輝が向かう。マウンドには同じドラフト1位の広島栗林。若き守護神が投じるフォークと直球に豪快に空を切らされ、最後は2-2から外角低めのフォークに手が出た。シーズンでは最多の3三振。表情は変わらなかったが、ベンチではバットをたたきつけた。

悔しさが積もった理由は、最初の2打席にもある。先発森下と公式戦初対戦。第1打席は直球、カットボール、チェンジアップを散らされた後、カーブで仕留められた。4回は1死満塁の好機。直球とチェンジアップで追い込まれると、1-2から152キロ直球に再び空振り三振。取材対応がなかったが、井上ヘッドコーチは「いい投手が来たときはそうはいけない。また『復活したね』ってものを早く見せられるように」と思いを代弁した。

昨季10勝の新人王とは、2月の練習試合で対戦した。佐藤輝は直球を右中間へ運び二塁打としていた。それでも、相手は得意のカーブを1球も見せておらず「シーズンはもっと違う球を投げてくると思う」と警戒していた。長丁場を戦うプロのリーグ戦ならではのことだ。この日はカーブが3球。手の内を明かした「シーズン仕様」の森下に完敗した。

ただ転んでも、タダでは終わらせない。7回1死の第3打席。ドラフト2位の2番手左腕森浦のスライダーを右前へ。一塁ベースを蹴ると、果敢に二塁を狙ってヘッドスライディング。鈴木誠の好返球に阻まれたが、貪欲に次の塁を狙った。ベンチに戻る際に拍手でたたえた矢野監督は「全然、行っていい。あれは相手が上なだけ。うちの野球はそういう野球なんで」。ファイティングポーズを崩さない姿勢を評価した。

チームは開幕からの連勝が3で止まった。試合前までチーム打率がリーグトップだった打線も散発4安打に終わった。「大きくダメージというのはない。気持ちの部分とか、攻めていく気持ちとか、粘りとか、やり切ってくれたんで。俺の中ではこの敗戦は割り切れる」。指揮官にそう言わしめた理由の1つは大型ルーキーにもある。次の戦いへ、佐藤輝も、チームも前を向く。【中野椋】

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