
子宮のない人が出産できるようにする子宮移植が、日本でも実施に向けて動き出した。是非を議論してきた日本医学会の検討委員会が、容認する考えをまとめた。命を救う目的ではないこの移植医療は、手術に伴う危険があり、慎重論もある。なぜ必要とされ、どんな課題があるのか。
九州地方に住む30代女性が生まれつき子宮がないロキタンスキー症候群だと診断されたのは、高校生のときだった。
生理が来ないため、疑問に思って受診したのがきっかけだった。友人に打ち明けられず、母親にも「負い目」を感じさせたくなくて将来の不安などの相談はしづらかった。20代になり、まわりが結婚し始めると、つらい気持ちが増した。
「結婚できないかもしれない。親に孫の顔も見せられない。人生の楽しみがなくなってしまったようだった」
3年前、子宮移植の存在を知った。「自分のおなかで子どもを育てられる可能性があると思うと、本当にうれしかった。自分が受けるかわからないが、希望と可能性は感じる」と話す。
ロキタンスキー症候群のほかにも、子宮の壁に腫瘍(しゅよう)ができる子宮筋腫や強い生理痛を伴う子宮腺筋症、がんなどで子宮を失うことがある。
子宮がない人が子どもをもつには、これまでは養子縁組か代理出産が選択肢だった。しかし、いずれもハードルは高い。
養子縁組は、実親と一緒に暮らせない子どもなどを民法にもとづき、養子にできる。特別養子縁組なら、戸籍に「長男」「長女」などと記載され、実親の名前は載らない。ただし、実親の同意が原則必要で、養親が家庭裁判所に請求し、6カ月以上は実際に同居して状況を確認する「試験養育」を経て判断される。
代理出産は、夫婦の受精卵を使って代理母に産んでもらうため、子どもと遺伝的なつながりをもてる。だが、民法上、出産した人が母親となり、親子関係が複雑になる。出産に伴うリスクを代理母が負うことになり、女性の体を「出産の道具」のように扱い尊厳を損ねるといった批判もある。日本産科婦人科学会は会告(指針)で実施を認めていない。
海外で代理出産を頼むケースもあるが、選択肢は少ない。フランスやドイツ、イタリアなどは禁止している。ビジネスとして代理出産が横行したインドやタイなどのアジア諸国でも近年、規制が進んでいる。
提供者が亡くなるリスク、最大の論点
子宮移植は養子縁組、代理出産に続く「第三の選択肢」として海外で2000年代から試みられてきた。
慶応大のグループも09年に…
からの記事と詳細 ( 提供リスクも大きい子宮移植 新たな選択肢、どう考える - 朝日新聞デジタル )
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